Cuisse de poulet à la citronnelle
(鶏肉のレモングラス風味)
たとえばパリのベルヴィル街にあるベトナム料理の店に行ったりすると、ついついとってしまうのが鶏肉のレモングラス風味Cuisse de poulet à la citronnelle。ひと口食べると、レモングラスのさわやかな香りが口中に広がる。
中華食品で束ねて売られているレモングラスを買ってくる。そのうちの4本を根から10センチちょっとで切りとって使うのだが、一枚表皮をむきとる。香りを十分にひき出せるように、かなづち、あるいは出刃の背でたたきつぶし、できるだけ細かくみじんに切ってボウルにとる。ニョクマム、しょう油、酢、ハチミツ、みじんに切ったエシャロットか玉ネギ、おろしたニンニク、タバスコソースか唐辛子粉少々、水を加え、コショウを振り入れ、混ぜ合わせる。これが鶏肉のマリナードになる。
鶏肉は、もも肉の上部haut de cuisse が柔らかくていい。大きさ次第だが一人当たり1枚半から2枚用意したい。真ん中にある骨にそって二つに切り分け、骨を切りはずす。肉からはみ出ている余分な皮は切り落とし、マリナードに漬ける。ときどきひっくり返しながら2、3時間くらいは置いておきたい。
オーブンの目盛りを200度に合わせて点火する。
マリナードをこす。鶏肉をマリナードからとり出し、くっついているレモングラスは焦げやすいのでとりのぞく。オーブン皿に重ならないように皮の側を上にしてならべ、マリナードも注ぎ入れ、熱くなっているオーブンへ。焼いている途中二、三度、はけで鶏肉にマリナードをぬるといい。マリナードが焦げそうになってきたら、水少々を足す。皮の表面にきれいな焼き色がついたら、オーブンから出す。レタスを敷いた皿に盛りつけ食卓へ。好みではコリアンダーの葉(パクチー)も添えるといい。どこまでも柔らかいもも肉、カリッと焼き上げられた皮、レモングラスの芳香と三拍子そろった一品だ。ベトナムやタイ産の香米をたいて添えれば本格的。
飲みものはビールかボージョレ産などの軽めの赤がほしい。(真)
【材料4人分】
鶏のもも肉上部6枚か8枚。
マリナード:レモングラスの茎3、4本。ニョクマム大さじ2杯、しょう油大さじ2杯、酢大さじ1杯、ハチミツ大さじ2杯、エシャロット1個か玉ネギ半個、ニンニク3片、タバスコソースまたは唐辛子粉少々、水大さじ4杯、コショウ
Haut de cuisse de poulet
(もも肉の上部)
鶏肉でどこがうまいかときかれたら、もも肉の上部 haut de cuisse と答える人が多いだろう。肉質は柔らかく脂が適度にのっているからだ。胸肉 blancはパサパサしがちだし、手羽 aile は調理がしにくい。そのうえ、スーパーでは4枚入りなどのもも肉の上部だけを売っているので便利。塩、コショウし、バターをのせ、皮の側を上にして180度に合わせたオーブンで焼けば極上のローストチキン。皮と骨をとってからひと口大に切ってクルジェット、せん切りにしたショウガなどと中華風にいためても美味。フライパンで玉ネギ、ニンニクをしばらくいためてから、そぎ切りにして塩、コショウしたもも肉を加え、色が変わったらカレー粉を好みの量振りかけ、生クリームをたっぷり加えればチキンカレー。濃縮トマト少々、プラムのチャツネかアプリコットのジャム少々なども足せば、さらに風味が増す。
Bouillon(soupe)de poulet
スープだし
鶏ガラのスープ、レストランならトリガラがたくさん出るので大量につくりおきできて問題はないけれど、家庭ではそう簡単にはいかない。そこでインスタントのキューブの世話になることが多い。800ccだと1個は多すぎ。半個にして、カツオやコンブ風味のだしの素適量も足して、しょう油少々で塩味を調える。
Sauce Nuoc Mam (Nam Pla)
ニョクマム(ナンプラー)
ベトナムやタイの料理に欠かせないのがニョクマム(ナムプラー)ソース。何度かつくり方を書いてきたが、もう一度復習。ニョクマム(魚醬)を大さじ1、2杯とり、ライムのしぼり汁を多めに加え、ニョクマムの塩気をやわらげるためにかなりの砂糖を加え、ニョクマムの2、3倍の水で薄める。ニョクマム、ライムのしぼり汁、砂糖、水の割合はいろいろと試してみたい。小口切りの唐辛子やきざんだニンニク少々、万能ネギ少々などを混ぜ入れれば文句なしのソースになる。