Course des Cafés
パリ五輪の前に、これまた注目の競走が開催される。かつて「ギャルソン競争」といわれたレースが「カフェ競走」と改名されて復活するのだ。1914年に始まった当時は男の晴れ舞台だったが、今日では性別に関係なく参加できるのだから改名も当然だろう(「course des garçons」の名称はカフェ経営者向け機関誌が所有していて使えないという事情もあるとか)。
トレーにカフェ、クロワッサンとコップ一杯の水を載せてパリ市庁舎広場をスタート、マレ地区、ポンピドゥ・センターなど2kmのコースを回って戻ってくる。「競走」とは書いたものの、走ったら失格。カフェやレストランでの給仕を想定したレースだからだ。トレーを乱さず、こぼさず、速くゴールインすることを競う。
出場できるのはホテル内レストラン、レストラン、カフェなどで給仕として働く人。カテゴリーはプロと見習いのふたつ。上は白、下は黒の服を着用し、主催者が支給するエプロン姿の200人が華麗なサービスの技を披露する。我も!という有志は3月20日まで登録*が可能だ。
この競走、給仕の職の魅力をアピールするのが目的ではあるが、理由はほかにもある。主催はパリ市とパリ市水道公社で「市の水道水が飲料水として良質であることを知ってもらいたい」と、パリ市助役でエコロジー移行・気候と水とエネルギー計画担当のダン・レール氏。カフェでは水道水は無料だし、パリ市水道公社は屋外に1200の水飲み場を管理している。
昨今、水筒を持つ人は増えたが、もっと水道水を飲んでもらいペットボトルのゴミをゼロにすることを目指しているのだ。そのために« Ici, je choisis l’eau de Paris (当店はパリの水を選びます)»キャンペーンを展開中。カフェでも商店でも、客ではない人にも水筒に水を入れてあげるようにする。加盟商店は千軒にまで増えた。2月は大手ミネラルウォーターの水質詐称スキャンダルが発覚したばかり。水道水派も増えるかもしれない。
また、五輪中は「混雑緩和のため外出を控えるよう」などのお達しや、移動制限のためQRコードがあてがわれるなどの話もあるが「スポーツの祭典はポジティブに楽しみたい。ダイナミックなカフェ競走はその一環。スポーツとカフェ文化が融合したカフェ競走を、多くの人に見に来て欲しい」と、前出レール氏は語った。(集)
Course des Cafés :
3月24日 (土)10h、パリ市庁舎前広場をスタート。
*参加の登録はこちら ☞ www.eaudeparis.fr/course-des-cafes