フランスのおヘソの位置にあるクルーズ県オービュッソン。タピスリーで名高いこの町は交通の便が悪く、列車の後はバスや車を乗り継いで行くことになる。だが到着すれば、緑豊かで中世の趣を残す街並みに感慨もひとしおだろう。
フランドルから伝わったタピスリーの技術はこの地にも根付いた。フランドル産とされるパリ・クリュニー美術館蔵の 「貴婦人と一角獣」のタピスリーも、このクルーズ県の城で発見されている。清流が流れ込み、羊の飼育や羊毛の洗浄に適したオービュッソンでは、15世紀末から16世紀頃に製造が始まり、現在に至るまで伝統が紡がれてきた。2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録。16年には大統領出席のセレモニーで 「国際タピスリー・センター」が誕生した。立派な展示室を持つ美術館だが、職人養成のアトリエや研究所、資料室などの顔も併せ持っている。
展示室では時代に沿って作品を陳列。職人の汗と歴史が刻まれた重厚なタピスリーは、大きめサイズで次々と眼前に迫る。展示は現存する最古のオービュッソン産タピスリー「千花模様の一角獣」 (1480-1510)から始まる。そして王室の工房が腕をふるった17世紀、黄金時代の18世紀を経て、多彩な20世紀へ。ピカソ、ル・コルビュジエ、ブラック、マン・レイら名だたる芸術家が、織物職人とのコラボレーションで作り上げた作品が並ぶ。
Cité internationale de la tapisserie
Adresse : Rue des Arts, 23200 AUBUSSON , FRANCEURL : www.cite-tapisserie.fr