Cité internationale de la langue française
フランス語をあらためて見つめてみよう。
国際フランス語センターの「フランス語の冒険」と銘打たれた常設展は、「フランス語と世界」「進化するフランス語」「フランス語は国の大事」という、計1200㎡の3つのセクションから構成されている。子どもや家族連れなど幅広い入場者に対応すべく、視聴覚に訴える遊び感覚のインタラクティブな展示がメインだ(し)。
セクション1:Langue-monde
世界中で話されるフランス語。
第1部の 「フランス語と世界」では、映画、シャンソン、オペラ、文学など文化分野の仏語が多様であるばかりでなく、たとえば新たな表現を生み出すポップス、ラップなどの歌詞のように、つねに変化するダイナミックな言語であることをまず強調している。
そして、とくに18世紀以降はフランス啓蒙思想の伝播によるフランスの文化的影響力の高まりもあって、フランス語がヨーロッパの外交言語、貴族のサロンや宮廷の言語になったこと、さらに、植民地征服の過程で北米、アフリカ、アジアに普及した「植民地帝国のフランス語」という側面 ー 現代ではフランス語圏 (Francophonie フランコフォニー)ー が取り上げられる。仏語で表現する植民地出身のネグリチュード作家は、“抑圧する側の言語”で表現するという矛盾を抱えていたのだろうかという疑問も湧き、いろいろ考えさせられる。
【フランス語は英語に次ぐ国際語】
フランス語はラテン語の口語が起源とされる。ケルト語系のゴール語が話されていた今のフランスにあたる地域が、紀元前1世紀にローマに支配されてラテン語の方言群(ガロ・ロマンス語)が生まれ、そこにゲルマン系の古フランク語が導入されて9世紀頃に古フランス語が成立した。14世紀頃にはノルマン語、その後も周辺の諸言語の影響を受けながら中世フランス語は変化し、17世紀からアカデミー・フランセーズによる仏語の整備などにより、現代使われているような仏語になってきた。今では英語に次いで世界で最も多くの国や地域で話されている国際語だ。また、29ヵ国・地域の公用語であり、日常的な話者は2億5500万人といわれる。