Ceviche de bar
ペルーの国民的料理ともいえるのがセヴィチェだが、明治時代から数多く日本人が移民している国なので、刺身が起源ではないかという説が有力になっている。レストランで何度か味わったのだが、白身魚やエビのマリネにアボカドやパイナップルが入っていたり、ココナツミルクがたっぷり入っていたりする。
ぼくは、ライムの酸味や唐辛子の辛みを大切にし、できるだけシンプルなものがうまいと思う。『Pérou, le livre de cuisine』(下記コラム参照)というレシピ本の幕開けが「Ceviche clasico」。それを参考にして、暑いとき向けのゼヴィチェを作ってみよう。
まず魚屋に出かけて鮮度のいいタイやヒラメ、あるいはスズキや真ダラなどの白身魚を選ぶのだが、魚屋に「C’est pour manger cru(生食用です)」と念を押しながら選んでもらおう。今回はスズキにしようと思ったのだが、天然ものはあまりにも高すぎたので、活きのいい養殖ものでがまんし、三枚におろして皮をとってもらった。家に持ち帰ったら、腹骨などが残っていないか確かめ、残っていたら骨抜きで丁寧にとりのぞき、そぎ切りにする。ひとまず冷蔵庫に入れておく。
紫玉ネギは二つに切り分けてから薄く半月切り、唐辛子は小口切り、ニンニクはできるだけ細かくみじん切り。レタスは洗ってから水気を切っておく。ライムはしぼる。コリアンダーの葉はみじんに切る。
冷蔵庫から魚をとり出しサラダボウルにとる。軽く塩、コショウし、1分ほどたったら、唐辛子とニンニクを加え、丁寧に混ぜ合わせる。
その上からライムのしぼり汁を振りかけ、玉ネギとコリアンダーの葉を加える。さらにアイスキューブを3、4個入れて混ぜ合わせる。あらいの要領ですね。20数えたらアイスキューブをとり出す。もう一度丁寧に混ぜ合わせ、必要なら塩味を調える。
各人の皿にレタスの葉を敷いてからこんもりと盛りつける。付け合わせはペルー風に、缶詰のスイートコーンと、塩ゆでしてから4センチほどの厚さに輪切りにしたサツマイモ。(真)
4人分:白身魚のおろし身600g、紫玉ネギ1個、唐辛子適量、ニンニク2片、レタス適量、ライム2個、コリアンダーの葉適量、塩、コショウ
Pérou, le livre de cuisine
ガストン・アクリオというペルーの人気シェフの著で、読んでいるだけでいろいろ想像できて、ちょっとした食いしん坊の旅ができる。やっぱりセヴィチェの数々のレシピからはじまる。ただ、いざ作ってみようとなると、ペルーならではの独特の食材についての説明がほとんどないのが残念。たとえば、今回のレシピでも 「小さなレモン20個のしぼり汁」とあるけれど、どんなに小さなレモンなのか見当がつかない。写真がほしいなあ。ぼくはプレゼントにもらったのでいいけれど、値段も高め。Phaidon/45€前後。
Ceviche de thon
夏になると近海ものが出回ってくるマグロthon rougeを、厚さ2センチほどの輪切りにしてもらって600グラムほど、輪切りの大きさ次第だが1枚あるいは2枚買ってくる。皮と骨を切りとって2センチのさいの目に切り、冷蔵庫に入れておく。紫玉ネギ、ニンニク、ライム、コリアンダーを今回のレシピ同様の分量で下準備する。冷蔵庫から魚をとり出しボウルにとる。軽く塩、コショウし、ニンニクを加えて混ぜ合わせる。ライムのしぼり汁を振りかけ、玉ネギとコリアンダーの葉を加える。おろしショウガ適量も入れ、丁寧に混ぜ合わせ、必要なら塩味を調え、エスプレット産唐辛子粉を振りかける。アイスキューブは必要なし。付け合わせはメキシコ風サラダかな。
Salade mexicaine
メキシコ風サラダには必ずスイートコーンが入る。自分でトウモロコシをゆで上げ。粒々をスプーンでかき出せば文句なしだけれど、缶詰のスイートコーンでもおいしくできる。赤インゲンも水煮缶詰で十分。どちらもパソワールにあけて水気を切る。ほかに、さいの目に切ったキュウリやトマト、ピーマンが入る。好みのドレッシングで和えるのだが、タバスコ数滴を加えて軽く辛みをつけたい。スイートコーンのおかげで子どもたちにも人気のサラダだ。