モンテーニュの食と喜び〈第9回 〉食卓を豊かにする薬味とは 2021-05-19 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム ルネッサンスを生きた哲人モンテーニュは、読書や執筆の時間を愛しながらも、生身の人間との交際を何よりも大切にしていた。「ほかに何もする気になれないほどの倦怠にとりつかれたときでないと本に没頭しない」(原二郎訳)と明言しているほどだ。 そもそも、書斎のある塔にこもって『エセー』を書 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第8回 〉 うんちくはいらない 2021-04-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 16世紀フランスの思想家モンテーニュによると、学問を修める理由は「自分を豊かにして内面を飾り、物識りの人間ではなく、立派な人間になるため」。ルネサンス文化が栄えはじめたとはいえ、中世以来の伝統がまだまだ残る時代のこと。相変わらず知識の量がもてはやされるなか、モンテーニュは学問本 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第7回 〉キャベツを植えながら 2021-02-19 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 16世紀のフランスが生んだ思想家モンテーニュは、「世のあらゆる知恵と理論が、結局は、われわれに死を少しも恐れないように教えるという一点に帰着する」(原二郎訳)としている。だからこそ、死を前に動じるところのない農民の姿にふれて心を打たれたのだろう。「素朴な百姓たちは紳士である。哲 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第6回 〉王家と農家のはざまで 2020-11-07 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 王家とつながりの深い新興貴族の家に生まれ、ボルドーの市長を2期務めたモンテーニュ。一部の古代人の習慣を引き合いに出し、「あらゆる種類の豪遊、放蕩、快楽の工夫、遊惰、贅沢等においては、われわれもたしかに、彼らに匹敵するだけのことをしている。というのは、われわれの意志も、彼らと同じ [...]
モンテーニュの食と喜び〈第5回 〉 優しさのなかの厳しさ 2020-10-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 教育は「優しさの中に厳しさをこめて」と説いた思想家モンテーニュは、子供が幸せに生きていくためには、ときに過酷な経験をさせることも重要だとしている。「お子様を苛烈な訓練に馴らし、そうして脱臼や、疝痛(せんつう)や、焼灼(しょうしゃく)や、牢獄や、拷問などの艱難(かんなん)辛苦にも [...]
モンテーニュの食と喜び〈第4回 〉子どもには、甘くやさしく? 2020-09-10 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム モンテーニュの父親は、時の王フランソワ一世が文芸に寄せる愛着に大いに影響されていた。自らに高い学識はないものの、いや、むしろないからというべきか、知識人に強い憧れを抱いていたこの好人物は、愛する息子にはぜひ立派な教養をつけてやろうと考えた。そこで、当時の知識人が共通言語として使 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第3回 〉 自分と人にやさしい食 2020-08-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 「私は普通の精神しかもっていないから、肉体的な幸福によって自分を支えなければならない」(原二郎訳)とその著書の中で明言しているモンテーニュ。「われわれは年齢が、われわれの手から次々と奪い去る生活の楽しみを、歯と爪でもって食いとめなければならない」と、快楽に執着する自分の姿をさらけ [...]
モンテーニュの食と喜び〈第2回 〉じらして得る快楽 2020-07-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 16世紀フランスの思想家モンテーニュは、快楽を求めるルネサンス人だった。定期的に行う断食にしても、特に老人になってからは、食欲を刺激して食べることを楽しむためだとしている。「私は、ゆっくりと少なく食べ、そして何べんにも食べるほうが健康によいと思う。けれども、食欲と空腹にもその真 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第1回 〉ルネサンスの偉人 2020-06-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム ミシェル・エイケム・ド・モンテーニュ(1533-92)。この、ちょっと仰々しい名前の思想家は、ボルドーに近い貴族の家に生まれ育った。ルネサンス文化が花開いた16世紀フランスが誇るこの人物は、はやくも30代後半に法曹界をリタイヤし、念願の隠遁生活をスタート。途中、政治的な理由でボ [...]