ノルマンディーの作家と食 〈9〉 2016-09-10 ノルマンディーの作家と食 他 0 モーパッサンの傑作『女の一生』(1883年)では、作家自身の家族が登場人物のモデルになっている。主人公ジャンヌの父親のモデルになったのはモーパッサンのふたりの祖父といわれていて、貴族生まれの、一風変わった知識人として描かれている。この人の好い男爵は、俗世間の荒波から守るために可 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈8〉 2016-08-25 ノルマンディーの作家と食 他 0 その両親が離婚した後、モーパッサンは母親のロールと共に海辺に近いエトルタの別荘で過ごすことになった。まだ離婚が珍しい時代でもあり、父親から離れて暮らすのは辛い面もあったはずだが、12歳の少年モーパッサンはすぐに海辺での暮らしに夢中になった。 この時代の面影はモーパッサンが数多く残 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈7〉 2016-07-11 ノルマンディーの作家と食 他 0 師匠のフロベールから、物事をしっかりと観察して描写することの大切さを教わったモーパッサン。初めて手がけた長編小説『女の一生』(1883年)には、そうやって時間をかけたからこそ得られたであろう、美しい表現が散りばめられている。 全編を通して沈うつなストーリーを救うかのように描かれ [...]
ノルマンディーの作家と食 〈6〉 2016-06-10 ノルマンディーの作家と食 他 0 モーパッサン初の長編小説『女の一生』(1883年)は、約5年の年月をかけて書き上げられた。師匠のフロベールから「これこそ真の小説!これこそ真のアイデアというもの!」と小説の構成を激励されて、意気揚々と執筆を始めたモーパッサン。だが、書きなれた短編小説とは違う長編小説の難しさや神経 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈5〉 2016-05-09 ノルマンディーの作家と食 他 0 モーパッサンの初期の作品には、1870年に勃発した普仏戦争がテーマになっているものが多い。『マドモワゼル・フィフィ』(1882年)もそのひとつで、ルーアンの近くにある貴族の城を占拠したプロイセン軍の将校らが登場する。 執拗に降り続くノルマンディーの雨の中、コニャックやリキュールを [...]
ノルマンディーの作家と食 〈4〉 2016-04-11 ノルマンディーの作家と食 他 0 「毎晩、十一時頃になると、カッフェにでも行くように、ふらりとそこへ出かける」(青柳瑞穂訳)。これは、モーパッサンの短編『テリエ館』(1881年)の書き出しだ。短くて何でもないようでいて、美しい一文だ。「そこ」とは、ノルマンディー地方の片田舎フェカンにある「気のおけない家」で、その [...]
ノルマンディーの作家と食 〈3〉 2016-03-12 ノルマンディーの作家と食 他 0 『脂肪の塊』(1880年)はモーパッサンが30歳の時に発表した小説。師匠にあたるフロベールも手放しで称賛したこの作品からは、モーパッサンの感性がしっかりと感じられる。自分が生まれ育ったノルマンディーの風景やノルマンディー人のこと、ブルジョワのこと、女性のこと、祖国のこと、戦争のこ [...]
ノルマンディーの作家と食 〈2〉 2016-02-11 ノルマンディーの作家と食 他 0 モーパッサンの『脂肪の塊 Boule de suif』(1880年)がこの作家の出世作になったのには、主人公であるノルマンディー美人の描写の素晴らしさが一役買っている。ぽっちゃりとした体型から「脂肪の塊」とあだ名をつけられたこの高級娼婦に、フランスの男はもとより、敵国の異性も次 [...]
ノルマンディーの作家と食 〈1〉 2015-12-12 ノルマンディーの作家と食 他 0 ノルマンディーの食というと、真っ先に思いつくのはリンゴ。そして、広大な大地で草を食む牛からとれる、新鮮なミルクを使った乳製品の数々だろうか。 19世紀のフランス文学を代表する作家のひとりであるモーパッサンは、ノルマンディー出身。この作家の出世作である『脂肪の塊』(1880)には [...]
ショコラのこと 2015-11-09 デザートノルマンディーの作家と食 他 0 フランス人にとって、ショコラ、つまりチョコレートはただのデザートではない。 バレンタインやパック(復活祭)、ノエルに欠かせない祝祭の彩りをまとうものであると同時に、ごく気軽に日常的に口にする食品でもある。 朝食にチョコレートベースのクリームをバゲットに塗りつけたり、パン・オ・シ [...]