Carpaccio de magret de canard

肉料理でも、さっぱりとしていて香り高いものを食べたいなあ、そうだ、カモの胸肉magret de canardのカルパッチョをつくることにしよう。カモ肉特有の風味には甘酸っぱいソースが合うから、オレンジ風味はどうだろう。
カモの胸肉は皮つきで一枚380グラム前後ある。4人分のアントレでも1枚で足りるだろう。胸肉のかたまりの表面に薄い膜が残っていたら、ペティナイフを膜と肉の間にさし入れ、すっと切りとる。このレシピには皮をつかわないので、皮と身の間にやはりペティナイフを入れつつ引っぱるようにして、皮と身を切り離す。
フライパンにオリーブ油をとって強火にかけ、熱くなったら胸肉を入れ、さっと両面にきれいな焼き色をつけてから皿にとり出しておく。牛肉のカルパッチョもしかりだが、肉をできるだけ薄く切ることがおいしさにつながるので、胸肉が冷めたらホイルに包み、冷凍庫に1時間ちょっと入れておくといい。
その間にオレンジ風味のソースをつくる。1個半をしぼって小鍋にとり、中火で煮詰めていき、量が大さじ2、3杯分くらいになったところで火からおろす。最後の方は、とろりとなったオレンジ汁が鍋にくっつきやすいので、弱火にして絶えず混ぜ合わせていくことが大切だ。甘みと酸みを強くするために、ハチミツ少々、レモンのしぼり汁少々を足すといいだろう。塩二つまみ、オリーブ油を加えて混ぜ合わせればでき上がり。
冷凍庫からカモ肉をとり出せば、少し固くなっているだろう。よく切れる包丁をつかってできるだけ薄く切り、大きな皿にきれいに並べ、ソースをはけでまんべんなくぬりつける。コショウを多めにひきかけ、塩の華を振り、オレンジの輪切りでかざる。ヴィネグレットソース少々で和えたルッコラやクレソンを添えると、その軽い苦みがいいアクセントになる。メインにするならフリットが付け合わせだ。ワインは赤よりは、フルーティーなアルザス産の白、リースリングが合いそうだ。(真)
4人分:カモの胸肉1枚、オレンジ1個半+飾り用半個、ハチミツ少々、レモンのしぼり汁少々、オリーブ油大さじ3杯、塩、コショウ
Magret de canard

カモの胸肉は、ほとんどの肉屋にあるし、スーパーでも真空パックのものが置いてある。皮つきでキロ28ユーロ前後はするが、肉が密なので、メインでも二人で1枚で十分。皮に小さな格子状に切れめを入れ、ごく弱火で皮の側からフライパンで焼いていく。皮にきれいな焼き色がついてほとんどの脂がとけ出たらひっくり返す。もう5分くらい焼けば、真ん中がまだ赤みがかった、ロゼと呼ばれる最適な焼き具合。薄く切り分け、塩、コショウを振りかけて味わう。
Graisse de canard

カモの胸肉の厚い皮下脂肪が焼いているととけ出てくる。これをガラス製タッパーに入れて冷蔵庫で保存しておけば、いろいろと利用できる。ジャガイモやバスク風に赤ピーマンをいためるときにもおすすめ。チャーハンにつかえば、独特のうまみになる。今回のレシピで胸肉から切りはずした皮も、小さく切ってフライパンでいため、とけ出てきた脂を大切に保存したい。この脂は不飽和脂肪酸が豊富で、悪玉コレステロールを下げてくれる。
Salade Perigourdine

カモの砂肝を脂漬けにした gésiers confits は常備しておくと便利。脂肪ごと鍋にとってゆっくりと温め直したら、(脂は捨てないでジャガイモのソテーなどに使う)砂肝をとりだして食べやすい大きさにそぎ切りにし、フライパンでソテー。ジュジュッーといってきたら、シェリー酒のビネガーvinaigre de xerèsを振りかけ、コショウをきかせ、レタスサラダにのせる。カモ胸肉の燻製をちらせば、ペリゴール風サラダに。マディラン、ボルドーなどのコクのある赤ワインで。
