第71回カンヌ映画祭だより②
ゴダール監督の記者会見

ジャン=リュック・ゴダール監督の記者会見

 コンペティション部門に新作『Le livre d’image(イメージの本)』を出品するジャン=リュック・ゴダール監督の記者会見がありました。スイスにいるゴダールが、ビデオ通話アプリFacetimeを介し、会場のジャーナリストたちの質問に答えるというもの。ゴダールが登場するスマートフォンを操るのは、ゴダール作品で撮影監督を務めるファブリス・アラーニョさんです。

 会見直前には、スタッフから会場のジャーナリストたちへ一言。
「みなさん、話す時は行儀よく。ボンジュールを言ったりするといいですね」。
ゴダール御大の前では、どんなベテランジャーナリストもお子様扱いのようです。

 さて、回線がつながり、スマートフォンの中から、葉巻を加えた本物のゴダール様が登場しました。ジャジャーンと、効果音を付けたい気分です。

会場のジャーナリストたちは、老いも若きも電話の中のゴダールに向かって一斉に手を振り出しました。なんだか妙に微笑ましい光景。もちろん自分も手を振っていました。

 ロシア、カナダ、ブラジル、イタリア、スペイン、ドイツ、そして日本と、世界のジャーナリストから次々と質問が飛びます。ロシアのジャーナリストは、「あなたの映画を原語で見たくてフランス語を勉強しました。この時がくるのを20年待ちました」と、熱く語りかけます。

でもゴダールは、「あなたの国の言葉は美しいのに」。
英語やフランス語で質問されるより、それぞれの国の言葉を聞くのがお好きなようです。

また、日本人ジャーナリストの前では、急に脈絡もなく、「ああ、そうですか~」と日本語で切り返しました。誰がこの日本語をゴダールに教えたのでしょうね。

会見には撮影監督ファブリス・アラーニョさんがひとりで登壇し、スマホを操作した。

 今回の新作『Le livre d’image』は、『ゴダールの映画史』のように、古今東西の映画作品が存分に引用されています。この新作について聞かれると、「ティエリー・フレモーがカンヌの公式作品を選ぶために見る映画の量よりは多く見て作ったよ」。会場で会見を見守っていた総合ディレクターのフレモーも思わず苦笑いです。

また、今後も映画を作り続けるかについては、「できればしたいけど、私の意志よりも、足や手、目にかかっている」とのこと。まだまだ作り続けてほしいものです。

とにもかくにも大きな問題もなく、ほのぼの、かつシュールな雰囲気のなか、無事に45分の貴重な会見は終了。みんなで映画のグルの有難いご神託を頂いた、そんな不思議な会見でした。(瑞)