Balade Plantes Sauvages Comestibles au coeur de Paris

大きな針葉樹ヨーロッパイチイの前で、クリストフさんの説明に聞き入る参加者たち。
パリ19区、ビュット・ショーモン公園。パリ有数の広さを誇る緑豊かな公園で、“大人の青空教室”よろしく、ノートとペンを手に集団で歩く老若男女のパリジャンたちを見つけた。熱心にメモを取る人々の輪の中心で語るのは、〈パリで野生植物を探す散策〉を主催するクリストフさん。

自然療法士でもあるクリストフさん。
ナチュロパット(自然療法士)であり植物学者でもある彼は、5年ほど前、パリで野生植物とその食用と薬用についてガイドする活動をスタートした。
「エルボリストリ(ハーブ薬局)に勤めていたけれど、実際に自然の中で植物について教えてほしい、と依頼されることが増えて。それにパリなら、わざわざ遠くの田舎まで行かなくても、街中の公園でたくさんの野生植物が見つかるから!」

一見、普通のタンポポのようだが、じつはフキタンポポ。
平日の昼間にも関わらず、多い時には定員50名を超える申し込みがあるというこの散策。参加者は、生涯学習に余念がないリタイア組から、ナチュラル系への就職・転職を夢見るアラサー&アラフォー世代、スケートボードで乗り付けた今どきの学生まで、さまざまだ。しかし、植物を摘んで、匂いを嗅ぎ、そして口に入れてみる、その子どものように無邪気な姿は、みな同じである。

春に花を咲かせる
カキドオシ。
「特に3年くらい前から、参加者の数がどんどん増えて。年代に関係なく、食への意識が高まり、どこでどんな風に育てられた食物なのかが気になると同時に、じつは自分の足元にも食べられる植物が生えている、という事実に興味を持つ人が多くなってきたのでは?」と、クリストフさん。

葉が踊り子のように並ぶオドリコソウ(左)と、茎のトゲが服にひっつくヤエムグラ(右)も食べることができる。
この散策は毎月開催されているが、もちろん季節によって見つかる野生植物の種類も変わる。まだ冬の冷たい空気が残る初春のこの日は、果実は食用だが種に毒があるヨーロッパイチイにはじまり、乾いた咳に効くというフキタンポポ、日本人にはお馴染みの銀杏がなるイチョウ、ミントのような香りで料理の彩りにもよいカキドオシなど、90分間で約8種類の野生植物について学ぶことができた。

フランス人には馴染みがない銀杏。匂いがキョーレツ!と大騒ぎに。
「最初からすべての植物を記憶するのは難しいから、1つ、3つ、5つ…と少しずつでいい。10回参加して、最終的に50種類以上の野生植物を覚えたという人も。50種類といえば、一週間に食べる野菜の数よりも多いでしょう!」
グルメなパリジャンの間で次に流行るのは、野生植物たっぷりのひと皿かも!?(裕)

ヨーロッパイチイの雄花
クリストフさんの野生植物マメ知識
散策では食用・薬用に使える野生植物の紹介だけでなく、調理方法まで説明してくれる。まずは生で味見、おいしいならサラダやガスパチョに。苦すぎるなら、炒めたり茹でたりして加熱してみて。
クリストフさんの十八番は、バジルではなく野生植物で作るペースト!ただし、野生植物を食用する際は必ず少量から。万が一、体調に変化などあった場合はすみやかに中止を。どの植物も食べ過ぎはNG!また、パリの公園など衛生状態が気になる場所の野生植物を食する際には、特別な注意も必要。
膝位置くらいの高さ以上から採れる植物に限る、水にアルコールとエッセンシャルオイル少量を加えたものでよく洗うなど、自己責任で。野生植物の魅力に目覚めたら、ヴァンセンヌの森やブローニュの森へさらなる採取に出かけてみては?

ビュット・ショーモン公園の植物を手入れする人の中にも、この散策への参加者がいるのだとか。
INFORMATION
Balade Plantes Sauvages aux Buttes-Chaumont à Paris avec Christophe de Hody
次回の開催は、3/23(木)予定。
時間:12:00~13:30 集合場所:19区区役所前
参加費:自由(当日現地にて)
予約申込みの他、週末アトリエやパリ近郊の森でのイベント情報など詳細はHPへ。
http://www.lechemindelanature.com

ビュット・ショーモン公園

集合場所は、19区の区役所前。
