フランス中部の町、オービュッソンにある国際タピスリーセンター(Cité internationale de la tapisserie)で進められている「オービュッソン、宮崎駿の空想世界をタピスリーに織る」プロジェクト。第4作目となる今回は『ハウルの動く城』の一場面「ハウルの恐れ」が作成され、6月16日、お披露目会が行われた。
ユネスコの文化遺産に指定されたオービュッソンのタピスリーで、宮崎駿監督作品を解釈し、表現する。そんな日仏文化のコラボレーションは、2019年に国際タピスリーセンターとスタジオジブリが正式に協定を結び始まった。
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』の場面を織り上げた3作品がこれまでに制作され、4作目の今回は『ハウルの動く城』の別の場面がモチーフ。魔除けやまじないで埋め尽くされた部屋で、ハウルが内に秘めた恐怖をソフィーに打ち明けるこの場面は、映画の中でも印象的なシーンの一つだ。
16日に行われた披露会では、タピスリーセンター内にある工房の織機からタピスリーを切り離すセレモニー「トンべ・ドゥ・メチエ」も行われた。タピスリーセンターのスタッフや関係者らが少しずつ糸を切り離していく様子はライブ配信され、約1年の作成期間の末に作品が公開される感動の瞬間が会場内外で共有された。
センターの講堂内で行われたお披露目会には、センターの関係者や報道陣、町の住人など多くの観客が集まった。除幕の瞬間には、3×5.6mの巨大なタピスリーの美しさに、集まった人々の歓声と拍手が起こった。離れて見るとタピスリーとは思えないほど鮮やかで、近づいて鑑賞するとその緻密さに圧倒される、素晴らしい仕上がりだ。
一枚のタピスリーが出来上がるまでには複数の工程があり、下絵職人、染色職人、そして織職人など各工程のプロが制作に携わっている。5〜6本の原色の糸を組み合わせ作られた精密な色、糸の材質、織る際の技法などが下絵の中で細かく指定される。今回披露されたタピスリーには、これまでで最多の2000色以上の色が使われているとのこと。
オービュッソンのタピスリー技術を保護し、継承することを使命とするタピスリーセンターでは、15世紀から現代までのタピスリー作品を鑑賞することができる。パリから約4時間半、この夏の小旅行の目的地にいかが。
2024年には、このプロジェクトの第5作品となる『風の谷のナウシカ』が公開予定。
過去の特集記事「オービュッソン、宮崎駿を織る。」、第3作目のリポート「オービュッソンで、宮崎駿監督『ハウルの動く城』のタピスリーが完成。」も一緒にぜひ。(赤)
INFORMATION
パリ・Austerlitz駅からBrive方面の列車でLa Souterraine駅下車。La Souterraine駅から長距離バスに乗り換え、 Aubussonまで1時間半。総所要時間は最短で約4時間半弱。
早朝にパリを出発し昼に現地着、夕方Aubussonから出発しパリに夜遅く到着する弾丸ツアーも可能。宿泊の際にはホテル「ル・フランス」がおすすめ。
入館料は 一般 8.5€ / 割引 6€ / 18歳未満は無料
開館時間は 9:30-12:00 / 14:00-18:00。火曜休。1月は全日休館。
7月と8月の開館時間は 10:00-18:00、火曜のみ14:00-18:00。
Cité internationale de la tapisserie
Adresse : Rue des Arts , 23200 AUBUSSON , FranceTEL : 05 55 66 66 66
URL : https://www.cite-tapisserie.fr/fr