Art Brut d’Iran

アール・ブリュットのグループ展はいくつも見てきたが、これほど各作家の作風と個性の違いが印象に残った展覧会はなかった。テヘランに300軒あるギャラリーの中で、唯一アール・ブリュット専門の「アウトサイダー・イン」のオーナー、モルテザー・ザーヘディさんをコミッショナーに迎え、国際的に知られた作家からそうでない作家まで24人を集めた。
ザーヘディさんは『ごきぶりねえさんどこいくの?』などの絵本のイラストで知られ、ボローニャ国際絵本原画展で6度入選した画家・イラストレーター。画家がアール・ブリュットの作家を紹介するのは、アール・ブリュットの提唱者ジャン・デュビュッフェが作品を収集し、アール・ブリュットの紹介に努めたことに似ている。
24人の中で正規の美術教育を受けたのは1人だけ。あとは事故、病気、家族の死など人生の大きな出来事が転機となり創作を始めた人が多い。教職を退職後、タクシーの運転手になって、客のいないときに車の荷室で彫刻を始めたアブルハーゼル・アミン・ビードハティはユーモラスな動物を生み出す。
アール・ブリュットの作家で夫のマフムドハーンの名前で自作を出していたパリのカルティエ現代美術財団の 「我ら、木々 Nous les arbres」展で、自作が絵葉書と切符に使われたことから作家であることに目覚め、自分の名前で発表するようになったファリデ。夫妻の共同作品からは2人の息の合った流れが感じられる。ペルシャの文学、神話の世界が息づいているのはハッジ・ムハマド・ハラーティの作品。文化的、精神的背景が西洋のアール・ブリュットと違うことに気づかされる。(羽)7/31迄



Halle Saint Pierre
Adresse : 2 rue Ronsard, 75018 ParisTEL : 01.4258.7289
URL : https://www.hallesaintpierre.org
月〜金11h-18h 土11h-19h 日12h-18h 10€ 割引8€ 15歳未満7€
