Alexandre Kantorow
ピアニスト、アレクサンドル・カントロフは、2019年にチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で、フランス人としては初めて優勝した。その才能は早くから注目されていて、10代のときから、リストの協奏集、ラフマニノフなどロシア人作曲家の作品集などのアルバムを出し、2019年にリリースされたサン=サーンス協奏曲集では、まれにみる高い評価を受けた。
さっそく聴いてみた。次から次へと快いメロディーが登場し、自身、名ピアニストだったサン=サーンスだけに、抜群のテクニックを披露するパッセージが多く、カントロフの卓抜な技巧にはほれぼれしても、これだけでは彼の音楽性はわからない、と思っていた。
2020年には、リスト、ブラームス、バルトークの狂詩曲からなる新アルバムがリリース。これは文句なしの傑作だ。緩急、強弱のダイナミックをみごとにコントロールしつつ、パッションが渦を巻いている。ロマン主義にまだ浸りながらも、新しいピアノ奏法を探っていたバルトークの狂詩曲が、柔らかいが芯のある美しい音で歌われていく。プロコフィエフの協奏曲を弾く5月のコンサート*が楽しみだ。(真)
Bis/16€前後。
*5月26日、27日20h30。38€~53€
Philharmonie de Paris : 211 av.Jean-Jaurès 19e M°Porte de Pantin
http://philharmoniedeparis.fr