国立公文書館で「Hibakusha – 広島と長崎の生存者による絵画展」が始まった。1974年から2002年にかけて、NHKが被爆体験者の絵を募集した際に寄せられた、3600作の被爆者の絵。そこから、200点を中心に構成された展覧会だ。
2005年にはパリ市庁舎で 「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」が、核兵器保有国の首都としては初めて開催され、広島の秋葉市長が訪問するなどして注目されたが、今回、国立の機関で本展が開催されるのは象徴的だ。
この展覧会を企画・監修したのは、ベルナール・エスマンさん。哲学の教授だった1997年に、太平洋戦争を専門とするアメリカの歴史学者ジョン・ダワーの資料を手に取り、初めて被爆者が描いた絵を見た。
「空中から撮ったキノコ雲のような抽象的なものではなく、具体的に、地上で人々が体験したことを見せる絵に衝撃を受けました。そこで、もっと被爆者の絵を見たいと探していたところ、広島平和記念館が画集を再版したのです。これを多くの人に見せなければ、という思いに駆られました」。
広い展示室には、絵の先生が描いたかのような緻密な描写の絵、技術的には稚拙なものある。被爆30年後に描かれた絵もあれば、60年近く経って被爆者が80歳、90歳を超えて描かれたものもある。
「歴史家は、記憶には〈長い記憶〉と〈短い記憶〉があるといいます。長い時を経て、ようやく姿が見えてくるものもあるのです」。ワインをデカンタすると、オリが沈んでワインが澄む。そんなふうに60年の月日が、混沌としていた記憶の奥底にあったものを鮮明に浮かび上がらせることがあると説明する。そして「蘇った記憶が、あたかも原爆投下当日のような強い力を持って表現されている」のが、これらの絵だと語る。
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