ドキュメンタリー映画作家、坂田雅子さんの第一作『花はどこへいった』(2007)が10月3日(火)の21時から、Forum des Images で上映されます。パリ国際環境映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。上映後、坂田さんとフランスで活躍されるジャーナリスト、飛幡祐規(たかはた・ゆうき)さんによるトークがあります。
『花はどこへいった – L’Agent orange : un requiem personnel』
反戦歌として世界じゅうで歌い続けられる名歌、『花はどこへいった』。この曲名をタイトルにした映画の製作は、ドキュメンタリー映画作家の坂田雅子さんが、夫のグレッグ・デイビスさんを2003年に亡くしたことに端を発しています。
ディビスさんは、18歳だった1967年から70年までベトナム戦争に送られ、枯葉剤を浴びました。その後、フォトジャーナリストになり、仕事のために何度もベトナムへ赴いて取材。ベトナム戦争後30年以上が経過してから急に肝臓ガンを発病し、入院してから2週間後、54歳で亡くなりました。
ディビスさんの死因が枯葉剤であることを事情に詳しい人から示唆されて、坂田さんは枯葉剤について調べるようになります。そして、2004年に自らカメラを携えてベトナムに渡り、ベトナム戦争が終わってから30年以上経っても各地で様々な障害を持って生きている人々がいることを取材したのが、この作品です。
フランス語のタイトルにある “agent orange(オレンジ剤)” は、ホワイト剤、ブルー剤などとともに、ベトナムで使われた、ダイオキシンを含む枯葉剤。ベトナム戦争中、アメリカ軍は7500万リットルもの枯葉剤を散布したとされ、ベトナム戦争が終わって40年以上経った今でも、その被害が環境や人体に出ています。
坂田さんは『花はどこへいった』の3年後、アメリカに渡り、ベトナム帰還兵やその子どもたちに会い、枯葉剤の影響を取材、第2作目『沈黙の春を生きて』を制作しました。「悪の連鎖は一度始まったらなかなか終わらない」と坂田さんは言います。枯葉剤はベトナムと同じようにアメリカでも、今日でもなお、戦地にいた兵士たちや、その子どもたちの体を蝕んでいるのです。戦争は終わっても、彼らの悲劇は終わってはいないのです。
『花はどこへいった – L’Agent orange : un requiem personnel』
2007年、71分、監督 : 坂田雅子、製作:シグロ
上映とトーク:2017年10月3日(火)21h-23h30
Forum des Halles
Adresse : 2 rue du cinéma, 75001 Paris , FranceTEL : 01 44 76 63 00
アクセス : Châtelet-Les Halles
URL : www.forumdesimages.fr/