葉が縮れている緑色のキャベツ chou de Milan で、オーヴェルニュ地方の名物料理、chou farciを作ってみよう。詰めもの farce の入れ方はさまざまだが、一枚一枚の葉に巻き込むスタイル、つまりロールキャベツの形にするのが簡単だ。
まずソースの準備。鍋にバターをとり、中弱火でせん切りにした玉ネギを炒める。色がついてきたら、フォン・ド・ヴォー(右欄参照)や鶏ガラのブイヨンを加え、それが半分くらいの量になったらビールを注ぐ。ラガータイプより、褐色で度数の強いベルギー産のビールがいい。再沸騰したら弱火にし、トロリとなるまで1時間ほど煮詰め、塩、コショウで味を調える。
次はキャベツ。外側の固い葉をのぞき、破らないように葉を8枚慎重にはがし、しばらく水に漬けて土などをのぞく。芯の厚いところは、そぎ切りにして薄くすると巻きやすくなる。大きな鍋で葉を丸ごと7、8分ゆでたら、緑色がきれいに残るように冷水にとり、パソワールにあけておく。
次は詰めもの。でき合いの豚のひき肉chair à saucisse nature は脂身が多いので、ロース côtes de filet や肩肉 échine を買ってきて、切り分けてからフードプロセッサーでひくのがベストだが、面倒なら市販のもので我慢。ひき肉をボウルにとり、卵、みじん切りにしたエシャロット、おろしたニンニク、きざんだエストラゴンの葉を加え、軽く塩、コ ショウし混ぜ合わせるのだが、手でこねるのが一番だ。オーブンの目盛りを160度に合わせ点火する。
キャベツの葉を広げ、詰めものを大さじ3杯ほどのせ、きっちりと包む。糸でしばる必要はない。これをオーブン皿に並べ、水を1センチくらいの高さに入れて熱くなっているオーブンへ。20分たったらアルミホイルで覆って焦げないようにする。もう15分ほどで焼き上がる。深めの皿に盛りつけて、ソースの玉ネギをまわりに置き、ソースをかけ回す。エストラゴン風味の詰めもののうまいこと!(真)
4人分:キャベツの葉8枚、豚肉500g、卵1個、エシャロット2個、ニンニク1片、きざんだエストラゴンの葉大さじ1杯、塩、コショウ
ソース: 玉ネギ中2個、フォン・ド・ヴォーか鶏ガラのブイヨン(インスタントの粉末やキューブでもいい)500cc、ビール400cc、バター、塩、コショウ
Chou
秋から春にかけてがおいしいとされるキャベツは、つるりとした葉がみっしり詰まって球形に近いもの chou cabusと葉が縮れたものchou friséの二種類がある。前者には、日本のキャベツそっくりのchou blanc、葉が薄緑色のchou cabus vert、紫キャベツ chou rougeがあり、そのまま細く切ってサラダにもいいし、下煮してからバター炒めにしたりする。縮れ葉は chou de Milanともいわれ、サラダよりも、下煮してから時間をかけて煮込む料理向きだ。「臭い、おならが出る」とキャベツを嫌うフランス人がかなりいるが、下煮するのは、その臭いをとるためでもある。
Fond de veau
肉用のソースによく使われるフォン・ド・ヴォーは、子牛肉の大量の骨をオーブンで焼き色をつけてから、ニンジンや玉ネギ、ブーケ・ガルニなどと一緒に6時間近くかけて煮て作るだしで、レストランならともかく、ふつうの家庭で用意するのはちょっと無理。そこで、粉末だったり、濃縮されたものが市販されている。便利だけれど、どうしても味がくどいので、控えめに使った方がいい。たとえば今回のレシピなら、水500ccに対して粉末を小さじ半杯くらいで抑えた方がいい。赤ワインのソースなどにも隠し味程度に加えるといい。