Clafoutis aux poires
9月になると、洋ナシのウイリアムスpoire Williamsが八百屋の店頭を飾るようになる。皮は黄緑色で、ときどき朱がさしていたりして、ほれぼれするような美形だ。その身は、ざらざら感がなくとろけるようで香り高く、わが家では一番人気の洋ナシになっている。
8年前にこのウイリアムスを使ったクラフティを書いたことがあった。そのレシピでは、あらかじめナシをバター炒めして、トロリと柔らかくなった感触を楽しめるようになっているけれど、ぼくの最近のやり方は、隣人のリュセットおばさんに教わったもので、切り分けただけの生のナシを入れることにしている。この方がウイリアムスの繊細な味わいがよく残るようで、評判がいい。
直径28センチの型にバターを塗り、バニラ砂糖1袋分を振り入れておく。このバニラ砂糖、少し高くても天然のバニラで香りをつけたものがほしい。
次はクラフティ用の生地を用意する。まず大きめのボウルに卵を割り入れてよくほぐす。塩一つまみと砂糖を加えるのだが、バニラビーンズがないときは、バニラ砂糖1袋も加えておくことにしよう。泡立て器でよく混ぜ合わせたら、ふるいにかけておいた小麦粉を混ぜ入れる。全体が均一になめらかになったところで、牛乳を入れる。ラム酒を入れると、さらに香りがよくなるけれど、好みです。このへんでオーブンの目盛りを180度に合わせて点火する。
ナシを四つに切り分け、皮をむき、芯をとる。これを縦に三つに切り分け、生地に混ぜ入れる。ナシが均等に広がるようにしながら型に流し、熱くなっているオーブンに入れる。35分から40分で表面に焼き色がついたらでき上がりだが、最後にもう1袋バニラ砂糖を振りかける。
少し冷ましてから、あるいはすっかり冷ましてから味わいます。翌日朝ごはんに、というのも素敵だ。(真)
洋ナシ3個、卵4個、砂糖120g、バニラ砂糖3袋(1袋7.5g入り)、小麦粉100g、牛乳300cc、ラム酒大さじ1杯、バター、塩
Moule émaillée
わが家ではオーブン料理にほうろう引きの長方形の型を使うことが多い。たとえば今回のクラフティの分量なら25センチx20センチの大きさのものが丁度いい。白い型なら料理の色とのコントラストがきれいだ。縁や底につくおこげや汚れも、ほうろうのおかげで洗剤で洗うと簡単に落ちる。
Eau de vie de poire
9月初めにミュンヘンに出かけた。ボリュームたっぷりの食事が終わって、食後酒がほしくなった。シュナップス (蒸留酒)が飲みたいと言ったら、友人はすかさず「ミュンヘンでは洋ナシの蒸留酒だ」。小さなグラスから、洋ナシ独特の香りが漂ってくる。アルザス地方でもeau de vie de poireを作っていて、ウイリアムス種から作られるものが極上だ。サクランボ、ミラベル、フランボワーズなどの蒸留酒もあるが、木のたるの中で熟成されないので、いずれも無色透明だ。
アルコール度40%〜45%。 25€前後。