Maquereaux au vin blanc
パリの魚屋では、体がぴんと張りつめて目がきらきらしているような新鮮なサバが、キロ6ユーロ前後の安さで、ほとんど一年中並んでいる。サケやイワシ同様に、心臓疾患の予防だけでなく、アトピーやリウマチにも効果があるというオメガ3脂肪酸に富んでいる優れた食材だ。今回は、フランスのサバ料理の定番ともいえる、白ワイン風味を復習してみよう。
リゼットと呼ばれる小サバを1.5キロ買ってくる。頭を切り落としてハラワタを取り出して水洗いし、クッキングペーパーなどを使って丁寧に水気をぬぐっておく。
タマネギ、エシャロットは薄くせん切り、ニンジンは薄く輪切りにする。
次にクール・ブイヨンを準備する。鍋に白ワイン、水、ビネガーをとり、野菜を加え、タイム、ローリエ、パセリ、丁字、コリアンダーの粒を加える。中火にかけ、沸騰したら弱火に落として15分くらい火を通して、香りを充分に引き出したい。
オーブンを200度~210度(目盛り7か8)に合わせて点火しておく。
深めのオーブン皿やテリーヌ用の器にサバを並べながら、塩を振り、コショウを挽きかけていく。その上から熱々のクール・ブイヨンを、野菜やハーブ、スパイスが平均して散らばるように、静かにかける。アルミホイルでオーブン皿を覆ってから熱くなっているオーブンへ。もちろん底広の鍋で煮てもいいけれど、オーブンの方が煮くずれしない。
15分もしたらオーブンから取り出し、冷ましてから冷蔵庫に入れて、少なくとも12時間の辛抱です。その方がサバに味がしみいってうまくなる。
皿にハーブや野菜ともども彩り鮮やかに盛り付けて食卓へ。前菜として出すのが普通だが、ミックスサラダをたっぷり添えれば、立派な食事にもなる。冷蔵庫に入れておけば1週間は持つ。ワインはリースリングなどのアルザスの白はどうだろう。(真)
小サバlisettes 1.5kg、タマネギ1個、エシャロット2個、ニンジン1本、タイム少々、ローリエの葉2枚、パセリ3枝、丁字2本、コリアンダーの粒小さじ半杯、白ワイン250cc、白ワインビネガー250cc、水250cc、塩、コショウ
●ビネガー豆辞典
ビネガーは、アルコールから作られるビネガーと、白ワインあるいは赤ワインから作られるビネガーに分けることができる。無色のアルコールビネガーvinaigre d’alcoolは、ラッキョウのような小さなタマネギやコルニションを漬け込むときに使われる。マッシュルームやアルティショーの色が変わらないように酢水に浸すときもこのビネガーで充分だ。
白ワインビネガーvinaigre de vin blancは、スカロールやチコリのような、味のあるサラダ菜用のビネグレットソース、魚介類を煮る時のクール・ブイヨン、肉を漬け込むタレなどに使われる。上質の白ワインビネガーに、タラゴンやクルミの香りをつけたものも市販されている。これは仕上げに加えて香りをこわさないようにしたい。シードル酒から作られるビネガーは、白ワインビネガー同様に使う。このビネガーでトリやサバを煮込むとうまい。
赤ワインビネガーvinaigre de vin rougeは、レタスのような味の薄いサラダ菜用のビネグレットソースに使うといい。肉やレバー料理の味をひきしめたりする時もこのビネガーが使われる。
他にもシェリー酒から作られるビネガーvinaigre de xérèsやバニュルス酒から作られるビネガーvinaigre de banyulsなどがあり、香りが一段といい。 イタリア料理に欠かせないのがバルサミコ酢vinaigre balsamique。主に甘い白ブドウを原料にし木の樽で数年間熟成させて作る。酸味が弱く、香り高い高級品。
ビネガーは酸度が強くなるに従って、5。から12。までの段階に分けられている。昔ながらの方法でカシの木の樽の中で熟成されたビネガーは〈vinaigre vieux à l’ancienne〉と表記される。
ビネガーは光の入らない涼しいところで保存するといい。あまり使わないビネガーは小瓶で買った方がいいだろう。ビネガーの瓶の底におりがたまったりすることがあるけれど、味には変化がないので、丁寧に漉してから使いましょう。(真)
●コリアンダー
コリアンダーcoriandreは、地中海沿岸、インド、ロシア、アジア、南米と広く使われているハーブ。中国では香菜(シャンツァイ)と呼ばれ、ベトナム料理にも欠かせない香りとなっている。フランスでもファンが増えていて、新鮮な葉は、刻んでサラダのドレッシングに入れたり、さまざまな肉や魚の漬け汁に加えたり、子羊料理の仕上げに散らしたりする。種を乾燥させたものは、さまざまな油漬けや酢漬けに加えたり、挽いてからコショウがわりに使うことができる。カレーの大切な香りの一つでもある。