Brick au thon et a la feta
春。暖かい日差しを求めてベルヴィル公園に向かったけれど、やっぱりランポノー通りのマグレブ風揚げ物屋さんで道草してしまった。みごとな手つきで揚げてくれたブリックがおいしい。ブリックというのは、小麦粉から作られたライスペーパーのように薄い皮で、ジャガイモや挽き肉、卵やツナなどを包んで揚げたもの。今回は、ツナ入りとフェタチーズ入りを作ってみよう。大切なのは、材料の下準備をしておき、みんながテーブルについてから次々と揚げていって熱々を食べること。クレープパーティーのような雰囲気になって子供たちに大好評間違いなしだ。
缶詰のツナは水気を切ってからほぐし、細かく刻んだコリアンダーの葉とみじん切りにしたタマネギを混ぜ入れる。軽く塩、コショウ。フェタチーズはフォークでほぐしてから、松の実pignons depinとみじんに切ったパセリやバジリコを混ぜ入れ、コショウやクミンパウダーで香りをつけておく。松の実はあらかじめ煎っておくとさらにうまくなるだろう。
大きめのフライパンにたっぷり油をとって中火にかける。量をケチると、ブリックを入れたときに、その重みで底にくっついてしまう。油はコシがあって熱に強い落花生油が最適だ。
ブリックの皮を一枚ずつ、静かに紙からはがしてからはさみで半分に切る。手前にツナやフェタチーズのミックスを置いて、くるっくるっと三角形になるように折り畳んでから、次から次へと揚げていく。きれいな焼き色がついたころに、フライ返しなどを使って慎重にひっくり返す。もう片面もキツネ色になるまで揚げれば、でき上がりという簡単料理。クッキングペーパーで油を切ってから、レタスなどを敷いたお皿にのせて食卓へ。
ツナの方はレモンをじゅっと振りかけて頬ばりたい。飲み物は、ワインなら冷えたロゼ。ビールやパスティスにも合う。(真)
ブリックの皮8枚、ツナ約150グラム、フェタチーズ約100グラム、タマネギ1個、松の実少々、コリアンダー少々、パセリかバジリコ少々、塩、コショウ、油。
●ブリックの皮 feuilles de brick
小麦粉から作られるブリックの薄い皮は、四角形のものもあるけれど、普通は直径30センチくらいの円形で、くっつかないように、一枚一枚薄紙に挟まれている。紙からはがす時は、こわれやすいので慎重に。なるべく新しいものを求めたい。古くなると乾いてしまい、折り曲げると割れてしまう。そんな時は、ぬれ布巾でふいてやると、少しは柔らかくなって弾力が戻るだろう。水気が出ない好みの具を、オムレツ形、三角形、長方形などに包んで揚げてみよう。マグレブ系の食料品店、そして最近ではスーパーなどでも売られている。10枚入りで0.80€前後。
●卵入りブリック
卵入りクレープ同様に、ブリックの中でもいちばんベーシックなもの。あらかじめお椀の中に卵を割り入れて、殻が入ったら取り出し、ブリックの皮の真ん中にそっと置き、コリアンダーの葉を散らして、塩、コショウ、オムレツのように皮を二つに折ってから揚げる。
●挽き肉入りブリック
牛の挽き肉をオリーブ油で炒めて塩、コショウ。マグレブ風にするのなら、クミンパウダーも振りかけるといい。ちょっとインド風になるけれどカレー風味も人気がある。これをブリックの皮の上に置いて、タマネギ、きざみパセリを振りかけ、たとえば長方形に畳んだりして揚げてみよう。
●フェタチーズ
羊あるいは山羊の乳から作られるギリシャ名物の真っ白なチーズがフェタfeta。ミックスサラダに加えたり、グラタンに使われたりする。サイコロの形に切って、オリーブといっしょにテーブルに出せば素敵なおつまみになる。最近はどこのスーパーにもある。
●mixeur
前回のレシピのように、鍋でトリガラのスープと野菜を煮込んでから全体をミキサーにかける時には、直接鍋に突っ込めるタイプのミキサーが必要だ。これにもさまざまな形があり値段もさまざまだが、ミキサーしている最中にどうしても熱い液体が飛び散ってやけどしたりすることもあるので、図のように手で持つところが長いタイプがおすすめ。以前は、手回しスタイルの裏ごし器moulin a legumesを使ったものだが、現在は売り場からほとんど姿を消してしまった。(真)