Tartiflette
タルティフレットは、ベーコン、玉ネギ、ジャガイモに、サヴォワ地方の素敵なチーズ、ルブロションをたっぷりのせてオーブンで焼く一品。サヴォワ地方で生まれたのかどうかは確かではないけれど、最近家庭でも作られるようになってきた人気料理です。スキーをしたり、たっぷり散歩したあとなどに、おなかぺこぺこで食べるとうまさが倍増するようだ。
ジャガイモは形がくずれないシャルロットcharlotteやロズヴァルrosevalなどがいいだろう。皮つきのまま、少し歯ごたえが残るくらいに15分から20分ほど塩ゆで。ザルにとって冷ましたら、皮をむいて少し厚めの輪切りにする。
ルブロションチーズは、皮付きのまま薄く切っておく。
玉ネギは二つに割ってから薄くせん切りにし、フライパンに油を取って弱火で炒めていく。軽く色がついてきたら小さく切っておいたベーコンを加える。ここへ先ほど輪切りにしておいたジャガイモを加えて混ぜ合わせる。最後にコショウをしっかりときかせたい。ベーコンやチーズの塩気があるので、塩を入れる必要はない。
これをまず半量オーブン皿に平均に並べ、その上に、ルブロションチーズ半量を一面に並べ、ナツメグを振りかける。この上にまた〈ジャガイモ・タマネギ・ベーコン〉をのせ、ルブロションを並べ、ナツメグを振りかけ、熱くしておいたオーブンに入れる。目盛りは180度前後。20分もするとルブロションがすっかり溶けていい香り。オーブンから出したらすぐ食卓へ。熱々をふーふーいいながら頬ばりたい。
ジャガイモ、ベーコン、玉ネギ、ルブロションが渾然一体となった風味の素晴らしさ! ルブロションは1個(約500g)9ユーロ前後はするが、他の材料は高くないし、この一品にグリーンサラダを添えれば、豪華。ワインは、サヴォワ地方の白、Roussette de Savoieがあるといいなあ。(真)
4、5人分:ジャガイモ800グラム、玉ネギ5、6個、ベーコン 200グラム、ルブロション300~400グラム、油、コショウ、ナツメグ。
●カキ
クリスマスから新年にかけて、カキが食卓に出てくると、心が弾む。身が厚めでまろやかな味のノルマンディー産、潮の香りが強いブルターニュ産、繊細な風味のフィーヌ・ド・クレールはオレロン島やマレンヌ産、カンカルやブロンで養殖されている平たいものはかすかな苦みが独特だ。レモン、エシャロット入りのビネグレットソース、ライ麦パンpain de segle、有塩バターを添えましょう。ワインはもちろん、ロワールやアルザスの辛口の白ですね。
●bourriche d’huîtres
魚屋さんによっては、カキを開けてくれるところもあるが、どうしても割高になってしまう。大人数でたくさん食べたいときは、この季節、ハイパーや時には朝市で売っているカキのかご詰めbourriche d’huîtres(3キロとか5キロ単位。)を買ってきて、自分たちで開けることにしよう。ずいぶん安上がりになる。「うあ~大変そう!」などとあきらめず、手を保護するようにつばの付いているカキ開け用のナイフを何本か買ってきて、みんなで競争し合えば楽しいものだ。
●カキの開け方
手を痛めないように布巾などでしっかりとカキをつかむのだが、くぼんだ方を下に、カキのちょうつがいを手前に置く。専用ナイフを貝の合わせ目の手前から1/3くらいのところに差し入れ、滑らせながら貝柱を切り、今度はナイフを手前に持ってきてこじ開ける。カキの中にある水は、塩辛すぎるので一度捨てた方がいい。すると、自然にカキがおいしい水を出してくれる。レストランでは氷の上にのせたりするが冷たくなりすぎる。大きなプレートの上に丁寧に並べるだけでいい。
●noix de muscade
東南アジアや南米の熱帯地方に生えるニクズクmuscadierという常緑木の種子がナツメグ。乾燥して褐色になったものが市販されている。これをおろし金で粉にして料理に加えるが、独特の強い香りを持っていて、マッシュポテトやアシ・パルマンティエなどのジャガイモ料理、スフレやオムレツなどの卵料理、グラタンなどのチーズ料理の貴重なアクセントになる。ベシャメルソースに入れるのもいい。デザートでは、ハチミツやドライフルーツ入りのケーキ、あるいは果物のパイや砂糖煮などに加えてみたい。
いずれの場合も、入れ過ぎるとくどくなるので、控えめに。(真)