Poulet chasseur
3年ほど前に紹介した《Les meilleurs recettes des restaurants italiens》という本に出ていたレシピです。〈狩人風chasseur〉というとふつうキノコが入るけれど、このPollo alla cacciatoraはキノコが入らない、セロリとトマト風味の煮込み。台所からいい匂いが流れ、家族の目が期待で輝くような一品だ。
日曜のごちそうにというのなら、トリはpoulet fermierと明記してある肉質のしっかりしたものを選びたい。少人数の家でも、温め直すとさらにおいしくなる料理なので、1.5キロ以上の大きめのトリを買って8つに切り分ける(あるいは鳥肉屋さんに切り分けてもらう)。
ココットのような厚鍋かふたのできるソトゥーズに、大さじ3杯ほどのオリーブ油とその半量のバターを入れ、強火にかける。熱くなったら、しっかり塩、コショウしておいたトリ肉を、皮の方を下にし、重ならないように入れる。5分ほどできれいな焼き色がついたらひっくり返し、もう5分ソテーし取り出す。焼き色をきちんとつけたいので、鍋が小さかったら、この作業、2度に分けておこないたい。
火を中火に落とし、みじんに切っておいた玉ネギ中1個、セロリの茎3本、唐辛子の粉少々を加える。玉ネギが透明になったら、丸ごとトマトを750グラム加える(缶詰で十分。ちょうど大缶1個分)。木のへらでトマトをつぶすようにしながら5分ほど火を通し、トリ肉を戻す。パセリ+ローリエ+タイム+ローズマリーのブーケ・ガルニをのせ、ふたをし、火を弱火にし、ぐつぐつと30分ほど煮込んでいけば、セロリの風味がありがたい一品のでき上がり。最後に塩味を調えましょう。
狩人風なんだからどうしてもキノコという人は、マッシュルームやセープ茸を切り分けてから別にソテーしておき、でき上がり10分前ほどに加えましょう。ワインはコット・デュ・ローヌの赤。(真)
●台所の本|Patricia Wells / Les meilleures recettesdes restaurants italiens
「イタリア各地のレストランで著者が出会ったおいしい料理を再現したレシピ集。彼女のレシピが作りやすいのは、何度も作られて彼女の中できちんとこなれているからに違いない」と474号で紹介。この中の小イカのサラダやアンチョビーも入った子羊肉の白ワイン煮などは、何度も作っているうちに、みんなに喜ばれる得意料理になってしまった。
●トリの切り分け方
まず背を上にして、背骨の両脇にあるsot-l’y-laisseという部分を包丁の先を使ってえぐり出す。ここで背を下にし、包丁の先を滑り込ませるようにしながらモモcuisseを切り離していき、sot-l’y-laisseをつけたまま関節の部分で折るようにして切りとる。大きいトリなら、モモと下股pilonを関節のところで切り離す。胸の頂点から包丁を入れ、腹骨に沿うようにしながら胸肉blancと手羽aileのところを切り出す。大きいトリなら胸肉を少し残すようにしながら手羽を切り離せば、八つになる。残った骨は捨てずにおいしいだし作り。
●トリガラのだし bouillon de volaille
トリガラについている内臓を洗い落としたら、いくつかに切り分けて大鍋にとる。水を1~1.5リットル加える。ニンジン、長ネギ、セロリ、玉ネギなどの野菜を適量、ブーケ・ガルニも入れ、中火にかける。沸騰してきたら丁寧にアクをとり、塩、コショウ。火を落として20分ほど煮て、漉せばでき上がり。好みの野菜を入れてスープの素として使ったり、さまざまなソースを作る時に利用したい。冷蔵庫に入れておけば、2、3日は持つ。