Bruschetta
僕らの町の朝市にイタリアの食材を売る店ができた。パルメザン、モッツァレッラ、ゴルゴンゾーラなどのチーズ、パルム産の生ハム、モルタデッラ、コッパ、パンチェッタという筒状に結わえられ塩味も燻ぶし具合も柔らかなベーコン、自家製ニョッキやパスタ類…。
このお店のおかげで、ずいぶん前にファビオ君から教わったことのある、ピッツァトーストの元祖ともいえるブルーシェッタを作る機会が増えてきた。
4人分として、田舎パンを1センチほどの厚さに切ったものを8枚。僕はホールブレッドタイプの食パンを使うことが多い。モッツァレッラチーズ250グラム、できるだけ薄く切ってもらったパンチェッタかベーコン8枚、よく熟したトマト3、4個、バジリコ1束、ニンニク2片、オリーブ油適量を用意する。
トマトの準備。湯むきしてから、種の部分をのぞいて、サイの目に切っておく。モッツァレッラもサイの目。バジリコは葉だけをきざむ。
まずパンを軽くトーストする。といっても乾燥させる程度で、焼き色をつけてはいけません。これにニンニクをすりつけ、オリーブ油を一面に塗りつける。トマトを広げるようにしてのせ、モッツァレッラチーズを置き、ベーコンで覆う。コツといえば、あとでグリルで焼く時に端が焦げないように、なるべくパンが隠れるように材料を散らすことだ。オーブンのグリルに点火して、中段に入れる。チーズが溶け、ベーコンに軽く焼き色がついたら出来上がり。刻んだバジリコの葉を振りかけて食卓へ。2枚では足りないおいしさ。
オーブンがないからといって諦めてはいけません。下欄に紹介した本によれば、ブルーシェッタは、モッツァレッラもパンチェッタものせず、グリルで焼かずに味わうことになっている。(実)
●台所の本|A. & P. Carluccio / Antipasti
イタリア料理でうれしいのは、新鮮な野菜や魚介類、種類の豊富な生ハムやソーセージなどに、香り高いオリーブ油やニンニク、各種の香草がアクセントに加わる前菜類antipasti。この一冊には、「クルジェットの花のテンプラ」、「ナスのオリーブ油揚げ」、「イワシのマリネ」、「イカのファルシ」、「メカジキのカルパッチオ」、「玉ネギのファルシ」、「生ハムやコッパの盛り合わせ」といったイタリアの前菜が25 品並んでいる。大きな緑色のオリーブに牛肉やサラミを挽いて詰めるolive ascolaneのような手の込んだ料理も出ているし、写真も美しく、見ているだけで食欲が出てきます。
●ハーブ・スパイス探検|バジリコ basilic
茎は使わず葉だけを刻んで使う。レモン、ジャスミンを思わせる香りは、サラダ、魚のマリネ、ピストゥーというスープ、パスタなど、地中海料理に欠かせない。熱を加えると香りが飛んでしまうので、調理の最後に加えます。鉢植えを買ってきてきちんと水をやり、必要な量だけ葉を摘むというのが理想的。一束を買ってきて残った場合は、オリーブ油に漬けておくのがいちばん。バジリコの香りが溶けこんだ油ごと料理に加えればいい。このバジリコ油、サラダの脇にも添えましょう。