淡泊なようで暖かい作品。 Wonderland ほか N° 443 1999-09-15 ●Wonderland 定年後ふたりきりで暮らす夫婦、それに20代後半でそれぞれ独立した3人の娘と居所不明の息子。崩壊はしていないが円満でもないという、平凡なイギリスの家庭の数日間。夫婦愛も冷え切って石のように固く心を閉ざした母、姉妹間の嫉妬、男女間のすれ違い…各々がギクシャクした関係で繋がっている。そんな《普通の人たち》を粒揃いの役者たちが見事に演じ、暗くもなく甘くもない自然な作品になった。淡々と過ぎる日々の中で登場人物の身の上に起こる出来事は、身に覚えがあるようなことばかり。それぞれがそれぞれの思いを抱えて歩く夜の街がいい。夜のバスの中でふと涙をこぼしたりする主人公に共鳴してしまったりする。淡泊なようで、監督の暖かさを感じられる。 各誌の批評は冷たかったが、やっぱり観てよかった。(真) 絶賛の『Jude』を撮ったウインターボトムが監督です。(美) ●Kadosh TV 以外ではほとんど観たことのなかったイスラエルの映画作品で、監督はアモス・ギタイ。ヘブライ語のタイトルは「聖なるもの」を意味する。ユダヤ教では母親が尊重されているが、それが行き過ぎると男の子を産まない女性は価値がないことになってしまう。結婚して10年になるが子どもが出来ないリヴカ (ヤエル・アベカシスが素晴らしい) 、ユダヤ教の長老は夫メイルに離婚を迫る。リヴカの妹マリカには恋人がいるが、長老は熱心な信者ヨセフとの結婚を無理強いする。 溝口健二は、ワンカットで撮られた長いシーンを積み重ねながら、心の動きをありありと映像に定着したが、ギタイもワンカット・ワンシーンを多用しながらこの二人の女性のメロドラマをじっくりと見つめていて、画面が息づいているような緊張感がある。(真) Share on : Recommandé:おすすめ記事 【シネマ】3月のパリ・映画祭情報 第51回セザール賞 カリーヌ・タルデュー監督の感動作『L’Attachement』が作品賞。 現代社会を問うドキュメンタリー多数。Regards Satellites映画祭 サン・ドニ市で開催。 Ciné-Mailles 100年の歴史あるパリの名画座で、編み物、おしゃべり&映画。 【シネマ】Grand Ciel 畑明広監督インタビュー。 「自由、それは自分自身であること」俳優で動物保護活動家ブリジット・バルドーさん逝去。