★★★★ Cora Vaucaire 名作「枯葉」の創唱者コラ・ヴォケールほど、バカンスが明けて秋が近づいてくる季節に相応しい歌手はいない。 豊かな感受性と、精緻に洗練された表現力。気品をたたえながら歌い語る白い貴婦人の歌は、フランスの文化遺産のひとつとして永遠に残ることでしょう。在仏日本人の間ではむしろグレコ以上に人気が高いのは確かです。レパートリーが豊富なうえに、プログラムの内容を毎回少しずつ変えるから、ファンは何度も足を運ばされ、嬉しくもあるが、お金もかかります。 「モンマルトルの丘」、「スカーフ」、「桜んぼの実る頃」ほか、プレヴェールやバルバラの作品など、彼女の素晴らしい演唱に期待したい。 9月8日~12日。20h30 (日曜/17h)。 150F (Fnac又は Virgin)。 *Bouffes du Nord : 37 bis Bd de la Chapelle 10e 01 4607.3450 ● Bob Azzam “Latino ! Latino !” 日本では坂本九が歌った、62年の世界的ヒット曲「ムスターファ (悲しき60歳)」。そのオリジナル版を歌ったのがボブ・アザム。 彼のオリエンタル風リズム感に溢れた底抜けに明るい歌は、ダリオ・モレノやマリノ・マリーニらと同様、当時のダンス音楽には不可欠だった。このCDは、彼にとっては珍しいラテン・ナンバーの複刻盤。 折しもフランスの若者たちの間ではキューバやブラジル音楽が大流行。サルサやサンバなどを賑やかに踊るのもいいけれど、 “ペピート” など、ボーカルを中心にマンボやチャチャチャがシンプルに演奏されたこのオールディーズも、真夏の夜のダンス・パーティに悪くない。(南) |
《Passeport Musical》 パリ市立劇場 Th脂tre de la Ville のクラシック音楽や民俗音楽のプログラムには毎年一流のミュージシャンが登場する。最低4つのコンサートを選び、前売り券8枚以上を求めると、1枚がわずか60フランになる《Passeport Musical》というシステムを利用して、美しい音楽に浸ることにしよう。 1999 – 2000年度のプログラムを見てみると、クラシック音楽では、イザイ弦楽四重奏団とゲストによるシューベルトの弦楽五重奏曲やモーツァルトのクラリネット五重奏曲 (12/11)、注目の新人ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンによるバッハの無伴奏ソナタ第2番やブラームスのヴァイオリン・ソナタ(12/12)、ゾルターン・コチシュによるバルトークやベートーヴェンのピアノ・ソナタ(2/4)、伝説的なチェロ奏者、ヤーノシュ・シュタルケルによるブラームスやヒンデミットのソナタ(3/11)、ファビオ・ブロンディとユロパ・ガランテによるバロック音楽の小品 (4/27)、クロノス・カルテット (5/21)、タカーチ弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏 (◆11/12、11/13、2/26、2/27、5/12、5/13)。 民俗音楽では、インドのシャナイの名手ダヤ・シャンカール(10/16)、シリアの歌手ハムザ・シャクール(11/6)、イランのタール奏者、ホセイン・アリザーデ(11/25)、ファドの新星、クリスチーナ・ブランコ(◆1/17)、ギリシャの歌手、アンジェリック・イオナトス(2/10~2/12)、イタリアのベテラン歌手ジョヴァンニ・マリーニ(◆ 4/5~4/15)など。 *Theatre de la Ville : 2 place du Chatelet 4e 01.4274.2277 *なるべくよい席を確保するためにも《Passeport Musical》の申し込みは早めに。◆ 印のコンサートはTheatre des Abbesses (31 rue des Abbesses 18e) で。 ●ケルト音楽フェスティバル ラップ・グループのマナウが伴奏に使ってヒットを出したりして、人気がよみがえっているケルト音楽のフェスティバルFestival interceltique de Lorient が、8月6日から15日まで、ブルターニュ地方のロリアン市で。ベテランのジル・セルヴァ、気持ちよく踊れるグループ、トリ・ヤン、若手のマトマタやドネ・プリジャン…。街の各所に設けられた舞台から、ケルト・ハープ、コルヌミューズ (バグパイプ) の響きが流れる。初日には港で、ブルターニュ風魚料理 “cotriade” が食べられるという。 問い合わせは02.9721.2429 www.azimut.com.fr/interceltique ●パリ・ジャズ祭 ヴァンセンヌにあるParc floral de Paris で9月25日まで、毎週土曜日16h30からジャズコンサート。8月7日は、快いハードバップを吹き続けるテナーサックスのジョニー・グリフィン。14日は、ロイ・ハーグローヴとニコラ・ペイトンのトランペット・サミット。21日は、国立ジャズ・オーケストラを率いたこともあるローラン・キュニーのバンド、28日は、ミシェル・ポルタル・ユニット。無料。ただし入園料は10Fです。早めに出かけましょう。 |
|
||
|