Artichaud sauté à l’huile d’olive
アルティショ ( アーティーチョーク) の食べごろは、5月から。とにかくかさばる野菜で、八百屋の店頭にうず高くつまれる。カミュcamusというブルターニュ産はずんぐりと大きい。これは、一人当たり一個買ってきて、30分ほど茹で、ビネグレットソースで食べることが多い。一度食べるとなつかしくて忘れられない味になる。ヴィオレvioletというプロヴァンス産は、ずっと小振りで紫色がかり、ふつう5、6個が結わえられて売られている。茎や葉がシャキッとして色鮮やかなものを選びたい。今回の料理には、4人分として少なくとも2束ほしい。3束でもたいした量にはならない。
fondと呼ばれる花托を取り出す作業にとりかかる前に、水500ccにレモン1個分の絞り汁を加えたレモン水をボールに用意しておきたい。
茎を切り落としたら、全体の1/3くらいのところに包丁を入れて、ザクリと先を切り落とす。葉feuilleをあらかた手でむしり取ったら、よく切れるプティナイフで、ジャガイモなどを面どりする要領で葉の残りを切り取る。最後にチクチクする繊毛foinをえぐるようにしてとりのぞき、二つに割り、酸化して黒くならないようにレモン水に漬けます。図を参照。
アルティショ全部の下準備が終わったら、布巾で水気を丁寧にぬぐい、フライパンにオリーブ油をとり、アルティショを加えて、塩、コショウし、炒めていきます。すぐに色がついたりしないように、中弱火。ときどきひっくり返しましょう。全体に焼き色がついてきたらでき上がり。少し歯ごたえが残っているくらいがうまい。
魚の唐揚げ、子牛の肉のソテー、オムレツなどに添えたら、少し苦みのあるクワイの炒めもの、といった感じの高級な付け合わせになるだろう。量をたくさん、という人は、少し香りに欠けるけれど、大きな花托を持ったブルターニュ産で作りましょう。(実)
●ハーブ・スパイス探検|cannelle
カネルはシナモンのこと。ニッケイcannelierという木の樹皮をはいで乾かしたものだ。日本でも古くから使われている香料で、京都にはこの香りを生かした八つ橋というお菓子もある。
原産地はセイロン島。この甘く、やや苦い風味の香料をめぐってポルトガル人、オランダ人、イギリス人が争った。今でもセイロン島産が最高とされているが、モーリシャス島でも栽培が盛ん。乾いて丸まった筒状、あるいは粉末状で売られている。筒状の方が香りがいい。粉にして使う時は、手で揉むだけだ。
アップルパイ、さまざまなケーキ、ビスケット、梨のワイン煮などのデザートに大活躍。トーストにバターをたっぷりと塗り、砂糖とシナモンの粉を振りかけただけでもうまい。トリのワイン煮、子羊の煮込み、カレーといった料理にも合う。モロッコでは、クスクスの粒がシナモンと砂糖で美しく飾られて出てくる。vin chaudにもシナモンを入れましょう。
★アルティショ豆知識
茹でてからビネグレットソースやホワイトソースで食べるのが、アルティショの一般的な食べ方だ。
なるべく重たいカミュを人数分買ってくる。さっと洗ったら、茎を根元でポキリと折りとり、黒く変色しないように切り口にレモンをすりこむ。茹で上がりを形よくしたかったら、図のごとく糸で結わえたい。大鍋にたっぷり水をとり、沸騰したら塩をしっかりと加え、アルティショを入れる。大きさにもよるが茹で時間は30分くらいのもの。葉が抵抗なくむけるようになったらOKです。中の水気が出やすいように逆さにして、ザルにとる。冷めてからビネグレットソースで食べる時は、柔らかくなりすぎないようにすぐに流水で冷ましましょう。
温かいままをホワイトソースで食べるのもおいしい。ホワイトソースはいろいろな作り方があるらしいが、僕の手軽な作り方を紹介したい。今出回っているアスパラガスや魚、トリ料理にも合うソースだ。小鍋にバターを大サジ1杯とり弱火にかけ、溶けたら火から下ろし、小麦粉大サジ1杯加えて混ぜ、即座に水半リットル、塩、コショウ、ほぐした卵の黄身1個分を加え、丁寧に混ぜ合わせる。これを火に戻し、泡立て器で素早くかき混ぜながら煮ていき、グツグツといったらすぐに火から下ろす。バターを先ほどと同量加え、レモンの絞り汁半個分を加えたらでき上がりです。
●これは便利|couteau d’office
配膳室の包丁という意味で、プ(ペ)ティナイフ のこと。刃渡り10センチもない包丁だけれど、握りのところがしっかりとして、刃の質がいいものを1本持っていると、実に重宝する。果物や野菜の皮むき、ニンジンやジャガイモの面どり、レモンやラディッシュの飾り切り、肉のスジとりなどに欠かせない。ピクニックにも、刃先をコルク栓に刺し布巾に包んで持参できる。50~100フラン。