年末のパーティでタイ風牛肉のサラダを作ったら好評だった。
牛肉は、ランプrumstekかサーロインfaux-filetを、1枚400グラムの厚さに切ってもらって買ってくる。フライパンを強火にかけて熱くし、肉の両面にさっと色がつくくらいに炒めたら火から下ろし、アルミホイルで包んで冷ます。
次は、生ピーナッツを軽く色がつくまでフライパンで炒(い)る。すぐ焦げつくので絶えずゆり動かしながらごく弱火で。炒り上がったらすり鉢にとってすりこ木で砕くのだが、粒々が残っている感じを目指す。ブレンダーならあっという間だが、粉々にならないように気をつける。
紫玉ネギ、赤ピーマンはせん切り。フランスのキュウリは太いから、縦に二つに切り分けてから3ミリの厚さに切る。細ネギは小口切り。セロリはさっと熱湯を通してから冷水にとって水気を切り、5センチの長さの短冊に切る。レモングラスは根元に近く芯の柔らかいところだけを薄く小口切り。「タカの爪」と呼ばれる細い唐辛子は、中の種をもむようにして出してから薄く小口切り。以上を大きめのサラダボウルにとる。ミントとコリアンダーは、茎から葉をはずして粗くみじんに切っておく。
ここでソースを用意。小さなボウルにナムプラーを入れ、砂糖とライムの搾り汁を加え、砂糖が溶けるまで混ぜ合わせる。次は油を加え、泡立て器でよく混ぜ合わせる。最後にみじんに切ったニンニクを入れる。ナムプラー、砂糖、ライム、油の量は一応書き出しておいたが、塩味はナムプラー、甘みは砂糖、酸味はライムと、割り合いを変えつつ好みの味を作りたい。
肉をホイルから出し、よく切れる包丁で薄くそぎ切りにしていく。これを野菜が入っているボウルに入れ、ミントとコリアンダーの葉も加える。次にソースを3分の2ほど入れ丁寧に混ぜ合わせるのだが、手でやるのが一番だ。味見して薄味のようなら残りのソースを足す。
これをきれいなサラダボウルに盛り付け、ピーナッツを振りかける。揚げエシャロット(右欄参照)も散らすと、歯ざわりに変化が出る。飲み物は、軽い赤ワインかビールです。(真)
●nam pla
タイではナムプラーnam plaと言われ、ベトナムではヌクマムnuoc-mâmと言われている魚醤(ぎょしょう)は、小魚(カタクチイワシの一種)に15%の塩を加えて大きなつぼやたるに入れ、12カ月ほど熟成させて作る。中華食品店で簡単に、大きさにもよるが3ユーロ前後で手に入る。クサヤを思わせる臭いが嫌われたりもするが、タイやベトナム料理には欠かせない調味料だ。各種蒸しものや揚げ春巻きなどに、この魚醤のソースが付いてくるが、魚醤自体がかなり塩辛いので、砂糖、ライムの搾り汁などを加え、水で薄めてある。ニンニクが入っていることも多い。
クルジェットを、薄く輪切りにして油で炒める時に、このナムプラーを軽く振りかけとうまい。砂糖少々も足すといい。
●citronnelle
レモングラスcitronnelleも、タイ料理ならではの風味を作るのに大切な食材だ。どこかレモンを思わせる風味、そしてかすかな辛み、牛肉や鶏のもも肉などのマリネに入れたり、今回の牛肉のサラダだけでなく、パパイヤのサラダに入れたりする。根元から8センチくらいのところまでが香りが強い。マリネに入れるなら、そのまま薄く切ればいいのだが、サラダに入れる時は、外側の固いところをむいて、真ん中の柔らかい部分だけを使う。
●échalotes frites
エシャロットを細かく切ってから揚げたものも重宝する。これをサラダや蒸しものなどに振りかけると、歯ざわりに変化が出るし、味もよくなる。わが家の台所の常備品で、ホウレンソウのおひたしやカレーにも振りかけるといい。瓶入りで
100グラム3ユーロ以下と安い。
●cacahouètes crues
生ピーナッツも中華食品で簡単に入る。キロ5ユーロ以下という安さだ。これを軽く炒って細かく砕いたものが、タイやベトナムのサラダに振りかけてある。レシピではフライパンで炒ったけれども、ボクは、天板いっぱいにこの生ピーナッツを並べ、オーブンで一度にたくさん焼くことにしている。時々熱が均等に伝わるようにかき混ぜて焼いていくだけだ。軽く色がついたらオーブンから出して冷まし、密封できる瓶に入れて保存。