ところどころに赤みがさしているオレンジ色のアンズabricotが出回っている。洗ってからそのままかじってもいいし、砂糖煮やジャムにするのも悪くない。きょうは日曜日。友だちが食べに来ることだし、アーモンドクリームも入ったアンズのタルトを焼いてみよう。
まず生地作り。ふるいにかけた小麦粉を大きめのボウルにとり、砂糖と塩を加えて混ぜ合わせる。真ん中をくぼませて卵の黄身を入れ、小さく切って室温に置いて柔らかくしておいたバターを加え、指先を使って、全体がそぼろ状になるまで混ぜ合わせる。ここへ水を大さじ3杯加えてこねて、ボール状にまとめ上げる。冷蔵庫に少なくとも1時間寝かせておく。
アンズはさっと水洗いしてから水を切っておく。ナイフを使って二つに切り分け、種をとり出す。このへんでオーブンの目盛りを200度に合わせて点火。
直径26センチのタルトの型にバターを塗る。パイ生地を3、4ミリの厚さに延ばして型に収める。生地の底をフォークでまんべんなく突っつく。その上に、バニラ砂糖1袋分をまき散らし、アンズを、皮の方が下になるように放射状に並べていく。バニラ砂糖をもう1袋アプリコットの上に振りかけて、熱くなっているオーブンに入れる。まず10分間だけ焼くのだが、その間にアーモンド風味クリームを準備。ボウルに卵の黄身と砂糖を入れて、泡立て器で勢いよく、全体が白っぽくなるまで混ぜる。次はアーモンドパウダーを加え、さらに生クリームを混ぜ入れる。これで準備完了。
> 焼き始めて10分経ったら、型をオーブンから出し、アーモンドクリームを静かに注ぐ。下の方にもクリームが入るように、フォークでアンズを軽くゆするといい。これをまたオーブンに戻してもう20分ほど焼くと、生地がきれいに焼き上がり、クリームの表面にも軽く焼き色がついているはずだ。冷ましてから味わいます。アンズの酸味と、クリームのアーモンドの香りのコンビに拍手がわく!(真)
アンズ700〜800g、バニラ砂糖2袋
タルト生地:小麦粉250g、バター125g、卵の黄身1個、砂糖大さじ1杯、塩一つまみ、水大さじ3杯
アーモンドクリーム:卵の黄身2個、砂糖80g、アーモンドパウダー80g、液状生クリーム200cc
abricot
アンズ(アプリコット)は、今が食べごろ。ウメ、スモモ、アーモンドと同じくバラ科サクラ属に入る。今回のレシピではアーモンドのクリームを加えたが、同じ仲間だけに相性がいいのは当たり前。アンズは一度収穫されると、モモやナシと違ってそれ以上は熟さないので、八百屋で一つ味見させてもらうのが一番だが、それが無理なら、鼻を近づけてアンズの香りがするかどうかで選びたい。太陽に恵まれたフランス南部が産地で、いくつかの種類があって、キロ3ユーロから5ユーロくらい。熟してさえいれば、簡単に手で2つに割って種をとることができるので、そのままほおばることにしよう。タルトにしたり、砂糖煮にしたり、ジャムにしたりすると、甘味と酸味が濃縮されたようで、いっそうおいしくなる。
干しアンズabricots séchésも、スーパーや朝市で簡単に手に入れることができる。他の乾燥果物といっしょに、細かく切ってから、オートミルに入れたり、ケーキとして焼くのが定番だ。
アンズの砂糖煮
アンズのジャムもおいしいが、ヨーグルトに入れたりする時は、砂糖煮の方がうまい。アンズを二つに割って種を取り除く。皮は火を通すと溶けてしまうので、むく必要はない。鍋にアンズを入れ、その30%くらいの重さの砂糖を加え、弱火で煮ていく。焦げつくのが心配な人は、水を大さじ2、3杯加えればいい。底が焦げつかないように木のへらで混ぜ合わせながら、じっくりと、好みの濃さになるまで煮詰めていくだけだ。冷やしてから瓶に詰め、フタをして冷蔵庫で保存したい。ジャムと違って砂糖の量が少ないので、1週間くらいで食べ切ること。
poudre d’amande
アーモンドパウダーは、今回のようにクリームに使ったり、プディングに加えたり、小麦粉と半々にチョコレートケーキに入れたり、などなど、利用範囲が広い食材なので、常備しておきたいものだ。スーパーなどで買うと高いので、このパウダーをお菓子に使うことが多いアラブ人やインド人、中国人向けの食材店で買うことをおすすめしたい。