オヴニー編集部近くにあるレストラン〈Le Réveil du Xème〉はとりわけ肉料理がうまい。時々骨付き子牛肉のソテーがメニューに登場する。すると常連たちの目が輝き、そのソテーに注文が集まり、ほとんどが「ロゼ」、「ロゼ」と焼き加減を指定する。しばらく待っていると、表面にきれいな焼き色がついた子牛肉が出てくる。ナイフを入れると、芯はみごとにバラ色。口に含むと柔らかく、ジューシーな風味が広がる。
子牛の骨付き背肉côtes de veau、決して安くはないけれど、少し値が張っても、たまのぜいたくと、信頼できる肉屋で買い求めたい。肉の質が悪いと、焼いている最中に水気が出てきたりして焼き色がうまくつかないし、ひどいと縮んだりしてしまう。4人なら4枚買ってきて冷蔵庫に入れておくが、焼く20分ほど前に冷蔵庫から出し、すりこぎなどでたたいて少々平たくする。両面に塩、コショウ。なるべく大きなフライパンに油を大さじ4杯とり、強めの中火にかける。フライパンがしっかり熱くなったら子牛肉を入れ、まず両面にきれいな焼き色を付ける。焼き色がついたら、火を落としてソテーしていくのだが、焼き時間は厚さにもよるが、「ロゼ」という焼き具合にしたいなら12分ほどだろう。途中で一度ひっくり返したい。肉を取り出し、熱くしておいた皿に盛りつける。
フライパンに残っている油を捨て、トリガラのダシ150ccを加える。フライパンの底についているうま味を溶け込ますようにしながら、強火で煮詰めていく。半量くらいになったら生クリームを半カップ加え、これもぐつぐつさせながら少々煮詰めればソースのでき上がり。塩、コショウで味を調える。薄く切ってから別に炒め、水気を切っておいたマッシュルームを加えるのもおすすめだ。
付け合わせには、タリアテッレが定番だけれど、出回り始めている新ニンジンのグラッセも素敵だろう。ワインは、どことなくスミレの香りがする、上品な風味のシノンの赤がいい。春到来。(真)