
これからしばらく、各月の今こそ旬の食材をいろいろと組み合わせ、どんなメニューにしようかなと考えてみよう。
アントレ
11月も半ばをすぎると朝晩が冷え込むようになり、寒さにまだなれていない体が熱々の料理をほしがる。11月の八百屋の店頭で目をひくのが、ソフトボールよりやや大きく、鮮やかなオレンジ色をしているカボチャpotimarron。これをつかったクリームスープは、ビストロでもアントレとして出てくる人気もので、体の芯からほっかほか。こんなふうにこってりしたスープを味わっていると、フランス語では「manger de la soupe(スープを食べる)」というのがナットクできるようだ。このスープには4人分としてpotimarron 3/4くらいで十分で、残ったものは、薄く切って素揚げしてチップスにすれば、秋ならではのおつまみになる。
出まわってきている赤紫色のキャベツchou rougeをせん切りにする。酸みのある青リンゴも表面をよく洗ってから、皮ごとせん切りにしキャベツに混ぜ入れる。ヴィネグレットソースで和えれば、すてきなアントレになるだろう。
メイン
メインは脂がのってきたウサギ肉にし、晩秋ならではのキノコをあしらった「ウサギ狩人風lapin chasseur」にとどめを刺す。煮直してもうまい料理なので、ウサギは4人でも一羽買って八つほどに切り分けてもらう。すると肉屋(鳥肉屋)は、関節に包丁を入れて丁寧に切りはなしてくれるだろう。さてキノコだが、セープ茸cèpeは高価だし、あの特有なぬめりがこの料理には向いていないと思う。八百屋に、小さめで褐色のchanterelleや黒色のtrompette de la mortがあったらベストなのだが、なかったら、季節感はなくなるけれど年中手に入るマッシュルームchampignon de Parisやヒラタケpleuroteをつかうことにしよう。これもおいしいものです。

チーズ
チーズは秋が食べごろのものを三つえらんでみた。
サン・ネクテール Saint-nectaireは、オーヴェルニュ地方に古くからある牛乳チーズで、軽くプレスされただけの柔らかな風味で、ちょっとキノコのような匂いがする。
コンテcomtéはフランシュ・コンテ地方がほこる牛乳チーズで、加熱されてからプレスされ、数カ月間熟成される。熟成期間が長いものをゆっくりかみしめるとじつに味わい深い。グラタンにつかったり、サラダに入れてもいい。
三つめはウォッシュタイプの明るいオレンジ色をしたマロワル maroilles。ベルギーとの国境近くでつくられていて、古漬けのような独特の匂いがあるけれど、身はとろけるよう。この三つのチーズを盛り合せ、ブドウやクルミを添えるといかにも秋らしい。カボチャのクリームスープのあとに、グリーンサラダといっしょにこの盛り合わせを出せば、それだけでごちそうだ。バゲットだけでなくライ麦パンもほしい。
デザート デザートは、洋ナシがおいしいときなので、サクランボのかわりに洋ナシをつかったクラフティや赤ワイン煮はどうだろう。(真)
