『Merlusse』など修復作6作品公開

『La Femme du boulanger(パン屋の女房)』や「マルセイユ3部作」といった映画作品で知られる国民的作家マルセル・パニョル(1895–1974)。
ジャン・コクトーのように小説家・劇作家・映画監督と、各分野で成功をおさめた稀有な存在だ。日本ではヒット作 『プロヴァンス物語』や 『愛と宿命の泉』の原作者としても知られる。
昨年2024年はパニョル没後50年。これに合わせ修復が急ピッチで進み、特集上映や関連イベントが開催された。代表作を含む10本が劇場公開に。この再評価の流れは今年も続く。
この夏は、新たに修復が終わった6作品『Merlusse』『Cigalon』『Naïs』『Manon des sources』『Ugolin』『Les Lettres de mon moulin』が、「マルセル・パニョル、レトロスペクティブパート2」として公開に。
その中の一本『Merlusse』(1935年)は、パニョルにとって自身の脚本で撮った初めての作品。今年のカンヌ・クラシック部門に登場した。クリスマスの寄宿学校で居残りになった訳アリ生徒たちの前に、いかつい外見の教師が現れるという少々ジャン・ヴィゴの『新学期・操行ゼロ』風ドラマ。アレクサンダー・ペイン監督のお気に入り作品で、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』の参考にした映画だとか。
去る7月22日にはシネマテークで本作の先行上映会があり、パニョル作品の保護と振興に努める孫のニコラ・パニョル氏が登壇。「祖父の作品が時間の中に留まり、新しい観客を生み続けるようにすることが私の挑戦」と語った。10月にはパニョルをモデルとしたシルヴァン・ショメ監督のアニメ『Marcel et Monsieur Pagnol』も公開予定だ。(瑞)

