Gabriele Münter – Peindre sans détour

ガブリエレ・ミュンター(1877-1962)は、20世紀初頭のドイツ前衛芸術運動「青騎士」の創始者ワシリー・カンディンスキーの伴侶として知られている。本展では、カンディンスキーと出会う以前、姉と渡米した時代に残した、最初の作品と言える写真や第2次世界大戦後の作品も展示し、画業の全貌を見せている。
女性が国立美術学校に入れなかった時代、私塾で美術を学んだ。若い頃の版画やデッサンには、美術家としての確かな資質が感じられる。一生を通じてみると、風景でも肖像でも、「青騎士」時代から続く、ドイツ表現主義に近い大胆な色彩と単純な線で構成した作品が一番見応えがある。

Gabriele Münter Rue de village en hiver 1911
Carton sur bois52,4 x 69 cmMunich, Lenbachhaus ; donation Gabriele Münter, 1957Crédit : Städtische Galerie im Lenbachhaus undKunstbau München, Gabriele Münter Stiftung 1957 © Adagp, Paris, 2025
気になったのは政治との関係だ。第2次大戦中、ミュンターは公的な場所に出ることを控え、ムルナウで細々と制作を続けた。ナチスはドイツの美術館から押収したカンディンスキーを含む青騎士の仲間の作品を「退廃芸術展」に出品したが、展覧会のキュレーターによれば、彼女は美術館に所蔵された作品がなかったため、退廃芸術の烙印を押されることから免れたという。
画商の要望でナチス政権下のインフラ整備の風景を描き、「芸術に表れたヒットラーの道」展に送ったが、ナチスがイメージする労働者像とかけ離れた人物を描いたため、採用されなかった。ムルナウはナチス一色だったバイエルン地方にある。
会場には町の目貫通りにナチスの赤い旗が一枚かかった小さな絵がある。鉤十字が描かれていないので、キュレーターに言われないと旗だと気がつかなかった。ミュンターには「私、政治に関係ない」的なところがある。しかし、カンディンスキーが残した絵をムルナウの家の地下に隠して守ったことは特筆に値する。(羽)8/24迄。

Gabriele Münter Le Lac bleu 1954Huile sur toile50 x 65 cm :
Neue Galerie der Stadt Linz – LentosKunstmuseum Linz© Adagp, Paris 15

Gabriele Münter, Petit-déjeuner des oiseaux
10 mars 1934 ; retouches minimes en janvier 1938
Washington, D.C., National Museum of Women in the Arts
on de Wallace et Wilhelmina Holladay © 2023 Artists Rights Society (ARS), New York / VG Bild-Kunst,Bonn© Adagp, Paris, 202520.


Musée d'art moderne de Paris
Adresse : 11 av. du Président Wilson, 75016 Paris , Franceアクセス : Iéna
URL : https://www.mam.paris.fr/
月休、火〜日10h-18h(木-21h30) 17€/15€/18歳未満無料。「マティスとマルグリット」展とのダブルチケットは20€/18€。
