
Au fil de l’or L’art de se vêtir de l’Orient au Soleil-Levant
近年、服飾の展覧会が増えている。本展もその一つで、世界中から集めた金糸や金箔を使った衣装で構成された。北アフリカ、中近東、トルコ、中国、日本など、古くから金を衣裳に使ってきた代表的な国々の衣装を国別に紹介し、どのように金を使ったかという縫製や刺繍技術の情報も伝えている。
伝統的な衣装が多い中で際立っているのが、中国人デザイナー、グオ・ペイの、大量に金を使ったドレスだ。中国を代表する高級オートクチュールのデザイナーで、中国の伝統技術を使って、新しい感覚で豪華なドレスをつくる。本展のために制作した5点と過去の9点を展示している。
衣装はさておき、一番面白かったのは、金と宇宙の関係だ。金はもともと地球には存在せず、「中性子星」と呼ばれる高密度の天体どうしが衝突してできたもので、1億3000年前に宇宙から降ってきた可能性が高いことが近年の研究でわかってきた。金の成り立ちのコーナーでは天井から金色の粉が降ってくる演出で、宇宙の壮大さを感じさせる。
大昔から金に魅せられてきた人類が、なんとかして金に似たものを作ろうと涙ぐましい努力をしたことも興味深い。19世紀にはフランス人がマダガスカルで金色の糸を出す蜘蛛に注目し、糸を採取する機械を発明して蜘蛛の飼育を始めたが、採算が取れないので中止された。
古代ギリシャで使われていた「海の絹」と呼ばれる金色の糸は、地中海に生息する高さ1mにも達する大きな二枚貝、ハボウキガイ科のPinna nobilisの足糸だった。服飾だけでなく自然科学にもスペースを割いたことで、深みのある展覧会になった。(羽)7/6まで。

Musée du Quai Branly - Jacques Chirac
Adresse : 37 quai Branly, 75007 Paris , Franceアクセス : Alma-Marceau
URL : https://www.quaibranly.fr
入口はもうひとつ: 218 rue de l'Université 7e 10h30-19h (木-22h) 月休14€ / 11€
