Brancusi
コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は宇宙人のような人だ。ルーマニアの農村出身で28歳でパリに出てきて、前人未到の前衛的な作品で、彫刻を革命的に変えた。テーマの本質に迫り、これ以上削れないほど削ぎ落とされた作品には、100年経った今でも時代を感じさせない普遍性がある。彫刻を引き立たせるものに過ぎなかった台座も作品として制作して彫刻と同等のものにし、塑像で原型を作らず、直接木や石を彫ったことも、それまでの彫刻のやり方を変えるものだった。農夫のような風貌や作風から孤高の人を想像するが、アトリエに友人を招いてパーティを開き、手料理を振る舞う社交家だった。
そのブランクーシの29年ぶりの大掛かりな展覧会がポンピドゥ・センターで開催中だ。クラヨーヴァの工芸美術学校とブカレストの国立美術学校で彫刻を学んだ後、パリに来た。ロダンのアトリエで下彫りをしたが、大樹の下では何も育たないと言って1ヵ月で退職した。その潔さ!すでに自分の進むべき道が見えていたのだろう。モデルは使わず、記憶をもとに造形した。
アトリエはコレクターを迎える展示の場でもあった。作品が効果的に見えるように、光や配置を考えた。作品の写真も自分で撮ったが、発表するためではなく、作品をどの位置から見るかを示すものだった。会場にはアトリエが再現されており、何も捨てなかったというブランクーシの日記、手紙、領収書、音楽好きがわかる幅広い分野の音楽のレコードなど、アーティストの人となりを想像させるオブジェや、自作の映画、写真が作品と共に豊富に展示されている。(羽)7/1まで
ブランクーシ展+常設展 17€ /14€
予約した場合、遅刻は30分過ぎるとチケット無効に。
予約☞https://billetterie.centrepompidou.fr/content#
Centre Pompidou (Niveau 6) :
Adresse : Pl. G. Pompidou, 75004 Paris , Franceアクセス : Rambuteau / Hôtel de Ville
URL : https://www.centrepompidou.fr/fr/
火休。水〜月 11h-21h(木は-23h)