自分のルーツであるクラシックなフランス料理を大切に。
学生時代の経験は、時に一生の仕事を決める。ミロメニル駅近くに昨年9月オープンしたSphèreのシェフ、吉田哲也さんがフランス料理に目覚めたのは、大学時代のバイト先のカフェだった。その店のシェフは、ホテルのフレンチ出身。故郷の長崎では見たことがなかった華やかな料理の数々に驚きを覚え、フランス料理の道へ進む決意をした。大学卒業後は、大阪のホテルのフランス料理店で勤務。「ホテルのメインダイニングにいた時、クラシックなフランス料理に触れました。コンソメやフォン・ド・ヴォーなど、重要な基礎技術を見られたのは大きな財産です」。
その後、上京してビストロ、レストランでも経験を積む。ホテルとは異なるハードな働き方に疲れ果てたが、「自分の体力の限界を知ることができたので、たとえ忙しい日が続いても『あの頃にくらべれば大したことはない』と踏ん張れるようになりました」。
30歳を前にした2014年1月、パリへ渡る。当時8区にあったLoiseau Rive Droite(閉店)に入店。北欧系や分子調理学といった当時のトレンドを取り入れた自由な料理が多く、時代の変化と新しい可能性を感じた。その後、9区Les Canaillesのシェフに採用される。5年間の就任中、心掛けたのは「手頃な価格帯で、味も量も満足してもらえる、ビストロ料理を超えたきれいな料理を作ること」。努力の甲斐あり好評を得て、週に2〜3回通う常連もできた。
そして、昨年Sphèreのシェフに。季節感を大事にしたガストロノミー料理を提供する。日本の食材は使用しない。「料理を始めた頃学んだ、クラシックなフランス料理を大切にしたいので。ジュも取るし、肉には必ずソースを添える。日本の食材を使わず、日本人が作るフランス料理を表現していきたいです」。 (恵)
Sphère (スフェール)
Adresse : 18 rue la Boétie, 75008 Paris , FranceTEL : 01.4490.0295
アクセス : M°Saint-Augustin/Miromesnil
URL : https://restaurantsphere.com
月休、火〜日:12h-14h30/19h-22h30 ランチ:2皿35€、3皿42€ ディナー:4皿79€、6皿98€、プレスティージュ128€。