アルザス地方のノエルは盛大で美しいといわれるけれど、他のフランスと何が違うのだろう。ストラスブール郊外、アルザス中部セレスタ、南下してミュールーズと、アルザスのノエルに欠かせないものを作る人たちに会って、ノエルの習慣について聞いてみた。また、この地方に伝わるノエルには欠かせない伝説の人物や、ツリーの由来を教えてもらった。
3) Etoffe de Noël
今年のノエルの布、お題は「きらめき」!
「今年のノエルの布」、発表!
プリント地生産で有名なアルザス地方第2の都市ミュールーズでは、2000年から毎年、その年のノエル用のプリント柄を入札で選んでいる。その布は記者会見で発表され、待降節が始まると市庁舎をはじめ街中の装飾に用いられる。
今年はミシェール・リュッツ市長が、赤と金色と星をモチーフに「Scintillance(きらめき)」のテーマで募集した結果、アトリエ兼ブティックを運営するキャロリーヌ・リュックスさんの作品が選ばれた。赤を基調にゴールドの星や星座があしらわれた布だ。
「選ばれた後も何度か市長と話し合って最終的なデザインを決めるんです」とキャロリーヌさん。市長は「今年は節約ムードもあるので、暖かさや生命を象徴する赤で伝統に回帰しようと思った」。
ノエルの布はテーブルクロス、ナプキン、エプロン、バッグ、小物などになって市の歴史博物館の特設ブティック「Boutique aux étoffes」やネット上で販売される。織布もプリントも« Alsace terre textile »、 100%メイド・イン・アルザスの認証付きだ。
12月1日号は、「ノエルに輝くアルザスへ。」特集、以下もあわせてお読みください。
《その1》Couronne de l’Avent 「リースに火を灯しながら待つノエル。」
《その2》Bredele「ノエルのために焼くけれど、ノエル前になくなるお菓子。」
ミュールーズは、都市国家から14世紀に共和国になり、1798年にフランスに加入するという特異な歴史を持つ。産業革命以降、繊維産業が栄え、綿プリント地で有名に。1812年設立の製糸会社DMCは産業革命の代表的存在だったが、第2次大戦後は繊維産業が衰退、代わりに自動車、化学、電子、航空宇宙産業が発展した産業都市だ。
旧DMC社の多数の建物のうち1棟はクリエーターのアトリエになっている。柄をデザインし、自分たちでシルクスクリーンプリントし、無加工の上質の布を使ってベビー服や小物、アクセサリーを創作している若い女性クリエーター2人(*)にあった。4年前からは市に提案して、ノエル布を使ったバッグや蝶ネクタイもつくっているそうだ。
ミュールーズ・プリント生地博物館
毎年のノエル・プリント地を決める基準には、同市のプリント地博物館の所蔵品にインスピレーションを得たものという条件が付いている。この博物館はミュールーズの繊維業界が1833年に、同市の繊維業界が製造したり収集した古今東西の布の保存を決めて設立されたもので、18~20世紀の600万の布見本と5万件の文書を所蔵する。プリントの木版やシルクスクリーン機なども展示されている。
*ミュールーズのノエル市は、フランスのプロテスタント教会で最も背の高いサンテティエンヌ寺院のあるPlace de la Réunionで12/27まで開催。
ノエル市営業時間:
日月火水木 11h-20h、金土 11h-21h
12/24は11h-18h
25日は休
12/26は12h- 20h
12/27は11h-18h
ミュールーズ・プリント地博物館の位置情報は下。
ミュージアムショップもノエルのために、アーカイブの模様の布を商品にしたものを多数並べていて魅力的。
ミュールーズ観光局
Office de Tourisme et des Congrès de Mulhouse
1 avenue Robert Schuman 68100 MULHOUSE
Tél :03 8935 4848
www.tourisme-mulhouse.com/
取材・文 : 編集部、児玉しおり
取材協力: Alsace Destination Tourisme
アルザス地方観光局
Musée de l'Impression sur Etoffes
Adresse : 14 rue Jean-Jacques Henner , 68072 Mulhouse , FranceTEL : 03.8946.8300
アクセス : SNCF(国鉄)ミュールーズ駅からは徒歩5分。
URL : https://www.musee-impression.com/
月火休。水〜日13h-18h (12/25と12/26、1/1〜2/3は休館。12/31まではミュージアムショップもノエル市)。入場9€ / 60歳以上 : 8€/5€/4〜18歳:2.50€