イル・ド・フランス地域圏(パリ首都圏)南部、エッソンヌ県の病院がサイバー攻撃に遭い、病院の活動に影響が及んでいる。攻撃は週末に始まり、ソフトへのアクセスが不可能なため、生死に関わる手術のみ行い、そうでない手術や治療は他病院へ患者を誘導したり延期するなどの事態となっている。診療予約、患者のカルテも見られず、MRIやレントゲンの画像保存にも支障が起きており、カルテや処方箋などのデータもすべて手書きに。
ハッカーは1000万ドルと引き換えに攻撃を中止する要求*を英語で病院に送付しているが、被害に遭った病院の院長は、仏紙のインタビューなどに「要求には応じない。他病院でサイバー攻撃に遭った病院も支払ったことはない」と語っている。
フランスアンフォによると、病院を狙ったサイバー攻撃は昨年だけでも380件にのぼり、前年比で70%増。うち5件が患者の生死に関わるもの。システム再構築の費用として235万6千ユーロが充てられた。病院は、予算の5~10%を対策に充てているが不十分な状態だという。
被害は病院のほかにも、地方行政機関、IT企業などに及んでおり、近年ウビソフト、グラン・テスト地域圏、エクス=マルセイユ都市圏、民放TV局M6なども被害に遭っているという。
サイバー攻撃者が、攻撃を止め、システム再構築のために要求する金は「rançongisiel」。
英語のRansom + Softwareの造語「Ransomware」を、仏語にしたもので「rançongisiel(rançon身代金 + logicielソフトウェア)」。