数あるピアノトリオ曲の中でもシューベルトの第2番は名曲中の名曲だ。特に第2楽章のアンダンテ。ピアノが歩みを思わせるリズムをきざんでいく上に、チェロが歌曲風の旋律を朗々と弾きだす。それに続いて各楽器が、そのシンプルな旋律が内に秘めているドラマをそれぞれ表出させていく*。映画音楽としてもよく使われるが、キューブリックの『バリー・リンドン』では、その抒情的なメロディーが、ラストシーンをはじめ何度か顔を出し、映画の雰囲気を高めるのに一役買っている。
トリオ・ヴァンダラーは、ピアノのヴァンサン・コック、ヴァイオリンのJ-M・フィリップ=ヴァルジャベディアン、チェロのラファエル・ピドゥー、それぞれパリ国立高等音楽院の1等賞を得た名手からなり、結成されて30年以上のピアノトリオ。ハイドンからショスタコーヴィッチまでの幅広いレパートリーを持ち、ベートヴェンのトリオの全曲録音は高く評価された。もちろんシューベルトのこの曲も録音しているが、情緒に流されることのない格調ある演奏で、ポエジー豊か。今回のパリ公演でも、ベートーヴェンのピアノトリオ第4番と並んで、この傑作を演奏する。(真)
21日11h(自由席)。30€/15€(26歳未満) / 無料 (9歳未満)。衛生パスを忘れないように。
Théâtre des Champs-Elysées
Adresse : 15 av.Montaigne, 75008 ParisTEL : 01.4952.5050
アクセス : Alma Marceau
URL : https://www.theatrechampselysees.fr/