Curry de lotte à la crème
フランスでは、アンコウlotteは皮をはがれた白身の形で売られている。小骨がなくて食べやすいこともあって、フランス人が大好きな魚の一つだから、安くはない。そこで今回は奮発して、ちょっとしたブラッスリーなどにも登場する、カレーの香りをつけた生クリームソースと組み合わせてみよう。3、4センチの厚さに切ってもらって買ってくる。4人分で少なくとも600グラムはほしい。
まずフュメと呼ばれるだしを作る(下の作り方参照)。といっても、鍋に水を300ccとって、市販されている「fumet de poisson」の粉末を、小さじ山盛り1杯ほど加え、火にかけて溶かすだけのことだ。冷ましておく。
長ネギは、白いところだけを5センチくらいの長さに切ってから細くせん切りにする。マッシュルームは二つか四つに切り分けてから、さっとオリーブ油で炒めて、水気をとばしておく。
フライパンにバターをとって弱火にかけ、長ネギを入れて炒めていくのだが、焼き色がつかないように気をつけたい。長ネギがしんなり柔らかくなったら、中弱火にし、カレー粉、おろしたショウガ少々を加え、さらに小麦粉を振りかけて丁寧に混ぜ合わせる。ここで冷ましておいたフュメを加え、とろりとするまで丁寧に混ぜ合わせる。生クリームを混ぜ入れる。沸騰してきたら、レモンあるいはライムのしぼり汁と砂糖少々を加え、塩とコショウで味を調え、温度を保つようにごく弱火にしておく。
アンコウは軟骨をとってから、一人当たりたとえば三つくらいになるように切り分け、軽く塩を振る。別のフライパンにオリーブ油をとって中火にかけ、熱くなったらアンコウを入れ、片面3分ずつ焼き、カレー風味生クリームソースに加える。マッシュルームも加えて混ぜ合わせ、ぐつぐついってきたら、すかさず皿に盛りつけて食卓へ。チャービルの葉を散らしたりすればさらに美しくなる。付け合わせはライス。ワインはあまり辛口でない、シャルドネ種の白などがおすすめだ。(真)
4人分:アンコウ600~800g、長ネギ1本、マッシュルーム200g、フュメ300cc、液状生クリーム400cc、バター大さじ2杯、小麦粉大さじ1杯、カレー粉大さじ1杯、ショウガ少々、レモン (ライム) 半個、オリーブ油、塩、コショウ
Lotte
アンコウは辞典ではbaudroieとなっているが、ふつうlotteという名前で通っている。外見から「crapaud (ガマ)」とか 「diable de mer(海の悪魔)」と呼ばれたりもする。その醜い頭を切りとられ、皮もはがれ、白身のかたまりqueue de lotteだけが魚屋に出る。日本人が好物の肝は、漁港の市場にでも出かけないかぎり手に入らない。フランス人はこの締まった白身を串焼きにしたり、ローストしたりと、肉料理のレシピを応用。ときどきアンコウのほほjoue de lotteを売っているが、独特の歯ごたえがあり、見逃せないおいしさだ。
Lotte au curry rouge(vert)
汗が出るような辛いアンコウのカレーならタイ風。中華食品店でレッドカレーやグリーンカレーのペーストを手に入れる。これを鍋にとるのだが、極辛なので4人分で大さじ1杯で十分すぎるくらい。これをココナツミルクと水半々で割り、砂糖少々、ナムプラー少々、ライムのしぼり汁を入れ、ショウガやレモングラスの細切り、切り分けたパイナップルも加えて中火にかける。沸騰したら塩味を調え、食べやすい大きさに切ったアンコウを加え、火が通ったところで、バジリコの葉を散らす。タイ風カレーはどろりとせず、カレー汁という感じです。
Fumet de poisson
フュメ・ド・ポワソン、もちろん自家製が一番だ。みじんに切った玉ネギと魚のあら(頭と骨)を数分バターで炒め、白ワインを1カップほど加え、半分くらいになるまで煮詰める。ひたひたちょっとに水を注ぎ、ブーケ・ガルニも加え、あくをすくいながら20分ほど火を通す。これを冷ましてからこせばでき上がり。ところが、アンコウからはあらが出ないので、インスタントの粉末を使うしかない。この粉末、ほかにも魚の煮込みやスープに入れてうまみを増したいときなどに便利。ただ、味がくどくならないように、控えめに使うこと。