Covid-19は経済、医療、家庭、教育など多方面に大きな影響を与えているが、リベラシオン紙が「大学生:大きな苦悩」と報じたように若者、特に大学生への影響は深刻だ。
小中高で授業が続行される一方で、大学など高等教育機関は秋の第2次外出規制後も遠隔授業が続いている。自分のパソコンがない人8%、遠隔授業・試験に十分対応できるネット環境のない人が36%もいるなど学業継続の困難さ、アルバイトができないための貧困、留学や企業研修のキャンセルなど様々な問題が噴出。学習意欲の喪失、孤独、将来への不安などから、精神的に不安定になる人も増加している。#etudiantsfantomes(幽霊学生)、 #generationcovid(コロナ世代)など、ツイッターにも不安の声が数多く投稿された。
春の外出規制期間についての 7万人の学生を対象とした10月の調査によると、11.4%が自殺を考えたことがある、27.5%は深刻な不安障害、16.1%はうつ症状があったという結果が出た。ところが、大学付属の心理カウンセラーは学生3万人に1人しかおらず、パリでは3~4ヵ月待ち。民間の専門家にかかるお金がないので42%は治療をあきらめるという。
政府は14日、大学1年生の少人数授業を人数半分で25日から再開するとしたが、大学再開の見通しには触れていない。学生チューターの雇用、大学厚生事業センターに心理カウンセラー80人、ソーシャルワーカー60人を雇うと約束しているが、時期などは不明だ。学生組合は20日、大学での少人数授業再開、住居手当や奨学金の引上げ、心理ケア面の支援を求めて全国主要都市でデモを行った。21日にパリ郊外の大学生と面談したマクロン大統領は、全学生に20%相当の授業(週1度)の保証、奨学生のみ対象だった学食1ユーロを全学生に拡大、カウンセラー・精神科医にかかれるよう「心理小切手」を2月から支給するなどの対策を示した。
学生や卒業生の就職活動の一環でもある職場研修ができなかったり打ち切られたり、採用自体を取り消されたりするケースもある。高3のバカロレア試験も3月予定の専攻科目は平常点で採点すると教育省は21日に発表。6月の哲学、仏語口頭試験は予定通り行うとしているが、昨年同様中止になる可能性もあり、高校生にも不安は広がる。高校生から就職活動中までの若者が、特に影響を受けたコロナ世代と言われる。コロナが収束したとしても一気に状況が改善されないことが予想されるだけに非常に気になる問題だ。(し)