Spaghetti aglio, olio e peperoncino
夏負けで食欲がないときは、ちょっと辛いソースのパスタがいい。昨年、ボローニャから車で1時間ほどのフォルリの郊外で演奏した翌日、オーガナイザーのアリエレさんに「Alfio 」というレストランに招待された。ニョッキにはじまり、次から次へと8種類くらいのパスタが、それぞれ趣向を凝らしたソースで登場する、パスタづくしのメニュー! それがきれいにおなかにおさまっていく。今回は、夏向きの少々辛いパスタレシピを二つ紹介。
最初は、パスタ本来の味が生きるアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ。スパゲッティは細めのスパゲッティーニ、例えばBarillaの3番がいい。4人分で350〜500グラム、おなかのすき具合やあとにもう一品食べるかどうかを考慮しつつ量っておく。大鍋に水を5リットルとり、塩を大さじ山盛り3杯加えて強火にかける。沸騰したらスパゲッティを加え、混ぜ合わせながらアルデンテにゆで上げ、パソワールにとる。
この間に、大きなフライパンや中華鍋に上質のオリーブ油をとり、薄切りにしたニンニクと唐辛子を入れ、軽く塩をして中火にかける。2、3分してニンニクに軽く焼き色がついてきたら火から下ろし、きざんだパセリを加え、スパゲッティを混ぜ入れ、即座に食卓へ出してとり分ける。通はこの一品にはおろしたパルメザンチーズは振りかけないと言うけれど、お好みです。
次は、ナポリのミュージシャンが「若者に人気」と教えてくれた、ウオッカ風味のトマトソース。最初はびっくりしたけれど、きちんとしたイタリア料理のレシピ本にも出ています。パスタはもちもちっとした食感のペンネ・リガーテ。
大きなフライパンにバターをとり、上記のレシピ同様にニンニクと唐辛子を炒め、さいの目に切った生ハム、トマトピューレ、みじんに切ったパセリを加えて、塩、コショウ。よく混ぜ合わせ、沸騰したら弱火にし、10分少々煮詰め、生クリームcrème épaisseとウオッカを混ぜ入れる。アルデンテにゆでたペンネを混ぜ合わせ、1分ほどおいてから食卓へ。(真)
アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ 4~6人分:
スパゲッティ500g、オリーブ油大さじ6杯、ニンニク4片、唐辛子半本(カイエンヌペッパー適量)、塩
ウオッカ風味のトマトソース 4~6人分:
ペンネ500g、厚く切ってもらった生ハム1枚、ニンニク4片、唐辛子半本、トマトピューレ300g、生クリーム大さじ6杯、ウオッカ大さじ3杯、パセリ適量、バター、塩、コショウ
Pâtes
スーパーにさまざまな乾燥パスタが並んでいて目うつりがするくらいだ。ロングパスタは、スパゲッティ、リングイーネ、タリアテッレなどがあり、De Cecco、 Rummo、Barillaなどのイタリア産がやはりうまい。ぼくは、値段も適当で、弾力もあるBarillaの5番を愛用している。ショートパスタは、マカロニ、筒状のペンネ、蝶の形をしたファルファッレ、貝殻形のコンキリエ、螺旋状のフジッリなど。ペンネやコンキリエ、フジッリは、その形のおかげでソースがよく混じり合う。
パスタは、500グラムなら5リットルの水に塩を大さじ3、4杯ほど加えてゆで上げる。アルデンテのゆで時間はパッケージに書いてあるけれど、それを参考にしながらも試食するのが大切だ。油を加えるといいという人もいるが、ふっくらとゆで上がらないので避けたほうがいい。パソワールにとったパスタを、用意しておいたソースと混ぜ合わせ、ひと呼吸おいてから食卓に出す。
パスタに欠かせないのがおろしたパルメザンチーズparmigiano reggianoだ。すでにおろされた袋入りはどうしても香りに欠ける。チーズ屋で熟成が進んだものを買ってきて、熱々のパスタにおろしかければ、ソースなんかいらないようなうまさに舌を巻くことだろう。
Sauce provençale
スーパーには、そのまま温めればパスタ用になる各種ソースの瓶詰が置いてある。プロヴァンス風、トマトソース・バジリコ風味、ソース・ボロネーズまである。なかなかの味だから、時間がないときに重宝する。たとえば、トマト風味のプロヴァンス風ひと瓶(400g入)を鍋にとり、中火にかける。ここへ、缶詰のツナの油漬け(150g)を加えてよくほぐす。沸騰してきたらきざんだパセリやバジリコ、それにオリーブ油を大さじ2杯ほど加えるだけだ。あったらケッパー少々も足せば、即席とは思えない味になる。