Cake aux poires
英語のcakeはケーキ一般を意味するが、それがフランスに渡ると「ケーク」と発音され、同じくケークと呼ばれるパウンドケーキ型で、ベーキングパウダーなどの酵母が入った生地を焼いたものを指すようになる。生地にさまざまなドライフルーツをきざんで加えたものが代表的だが、今は洋ナシのシーズン、ブーレ・アルディという中型のナシを選んで、バニラの香りも生かしたケークを焼いてみることにした。
ケーク型にバターを塗り、小麦粉を薄くはたいておく。次は生地作り。バターを小さく切り分けて常温に置いて柔らかくしておく。卵をボウルに割り入れて丁寧にほぐし、ここへ、砂糖、柔らかくなったバター、牛乳を加え、泡立て器でかき混ぜていく。さらにふるいにかけておいた小麦粉とベーキングパウダーを入れ、だまができないように勢いよく混ぜ合わせる。
洋ナシのおいしさを引き立てるバニラは、予算がなかったらバニラ風味の砂糖でもいいのだが、天然のビーンズの上品な香りにはどうしてもかなわない。ペティナイフの刃先でビーンズを切り開き、こそげるようにして黒い種をかき出して、生地に混ぜ入れる。
洋ナシは四つに切り分けてから皮をむいて芯を切りとり、二つか三つに切って生地に加え、ナシが均等に散らばるように丁寧に混ぜ合わせる。これを型におさめ、180度に合わせて熱くしておいたオーブンに入れて50分くらい。ペティナイフを刺してみて、それが濡れていなかったら焼き上がりだ。中まで火が通っていてもしっとり、というのがベストの焼き加減です。途中で表面の焼き色が濃くなりすぎるようだったら、アルミホイルで覆うことにする。ポワール・ベル・エレーヌ(714号)やアーモンドクリームとのタルト(825号)と並んで、洋ナシの繊細なうまさが満喫できるデザートです。そして翌朝、コーヒーや紅茶と一緒にひと切れ、というのがたまらない!(真)
洋ナシ3個、卵3個、砂糖100g、牛乳大さじ2杯、バター120g(+型用に少々)、小麦粉150g(+型用)、ベーキングパウダー1袋(11g)、バニラビーンズ1本
Poires
洋ナシは、夏から出回っていたウィリアムスがそろそろ終わりで、今は、細長いコンフェランスConférence、大型のコミスComice、小型のルイーズLouise Bonne などが八百屋に並ぶ。今回のレシピに使ったブーレ・アルディBeurré Hardyは中型のナシで、ジューシーで香り高い甘さ、おすすめ! 洋ナシは熟する前に収穫するので、八百屋に並んでいるものは、まだ固く甘みも薄い。それを家に持ち帰って二日ほど置いて熟すのを待つのだが、やさしく押してみて、少し柔らかくなったかな、というのが食べごろだ。柔らかすぎるものは、芯が茶色になってくさりかけている!
Cake salé
ハム、チーズ、オリーブ、乾燥トマト、ケッパーやさまざまなハーブなどから好きなものを加えて、今回のレシピのごとく焼いた塩味のケークは、パーティーのおつまみに便利。生地は、何が入っても、卵1個、バターのかわりにオリーブ油100cc、牛乳100cc、小麦粉180g、ベーキングパウダー1袋、塩とコショウ少々。中身はたとえば ①黒と緑のオリーブ100gずつ+おろしチーズ150g、タイム少々②さいの目に切ったロックフォールチーズ200g+クルミ150g+おろしチーズ100g ③細かく切ったスモークサーモン150g+おろしチーズ100g+みじんに切ったアネット1束。