Léonard de Vinci
ダ・ヴィンチ (1452-1519)没後500年記念の中でも特に注目度が高いのが、このルーヴルの展覧会だ。年代順に構成されているのでわかりやすく、力学、解剖学、生物学など美術以外のダ・ヴィンチの仕事を示す手稿もあり、彼の業績の一部をコンパクトに見せている。
最初の展示室の、15世紀の大物彫刻家、アンドレア・デル・ヴェロッキオの工房で働いていた頃の衣装のドレープのデッサンは緻密だが、これくらいは他の画家でもできる。ダ・ヴィンチの本領発揮は人物画、特に表情にあると言っていい。本人の手による有名な油彩はルーヴルの常設展で見られるものなので、ここでは外国の美術館から来た素描が一番見ごたえがある。うつむき加減の若い女性の素描(上画像)には、彼女の繊細な魂が現れている。「岩窟の聖母」の天使の習作として描かれた人物は、魂が希薄な精霊のようだ (本展で展示されているのは「岩窟の聖母」のルーヴル・ヴァージョンで、習作を元に描かれたであろうロンドン・ヴァージョンより年代が先)。ダ・ヴィンチの人物素描にはその人の魂の高貴さと尊厳が現れている。技術以前の何かがある。「神の手を持つ画家」と言われるのも納得できる。(羽)
Musée du Louvre
Adresse : Rue de Rivoli, 75001 Paris , FranceURL : www.louvre.fr/
2020年2月24日まで。火休。予約制