Atelier des Capucins
海軍工廠が、市民みんなの広場になった。
シャム通り近くにロープウェイの乗り場がある。ブレスト中心街と、川向こうのキャプシーヌの高台にある造船所跡「アトリエ・デ・キャプサン」の2点を結ぶ。
キャビンの壁は全面ガラス。動きだすと眼下にペンフェルド川、軍港と大船修理の乾ドック、ルクーヴランス橋、ブレスト城、クレーン、海…とあまりにもブレスト的な最高の眺望が開ける(2ページ目トップの写真)。
最高地点は70mだから、高所が好きな人は床の丸窓から下を眺めるといい。3分間で (もっと乗っていたい!)対岸の造船所跡に着く。ここはかつてフランス海軍きっての戦艦シャルル・ド・ゴール原子力空母、クレマンソーやフォッシュ空母などを造っていた場所で、最盛期には1800人ほどが働いていた。
2017年、ブレスト市が市民の広場として整備しオープン。どっしりした造船用の器具などが残された広大な空間で大人も子どももローラースケートやスケボーをしたり、輪になって音楽を奏でたり。メディアテーク、劇場、映画館、ボルダリング施設、ビール教室兼ショップ、皮革製品や小物のブティックなどもある。
▶ 25 rue de Pontaniou
日~木10h-00h (金土-01h)Tél:02.9837.3600
▶ Fabrik1801 : ブラッスリーの広いテラスで眺めを楽しもう。
月 – 木 11h – 0h /金土11h-01h/日11 H – 23h
70.8 (Musée)
ブレストは、海の将来も考える。
「アトリエ・デ・キャプサン」内には海の科学ミュージアム 「70.8」がある。地球の表面の70.8%が海に覆われているためこの名前がつけられた。海のバイオテクノロジー、海洋エネルギーコーナーでは海底地熱、うねりや潮の力による発電、海水と淡水の濃度差を電力に変える「浸透圧発電」などブルターニュで行われている実験などを図解。海上交通、未来の船舶などのテーマが学べる。さすがは海研究の中心地!
▶ (住所は上に同じ)Tél : 02 2900 8495
週日13h-18h30、学校休暇以外は月休。週末や祭日など 10h-18h。8-4€ 70point8.com
Jardin du Conservatoire Botanique National de Brest
絶滅種保護で世界屈指のブレスト植物園!
ブレスト港からはラペルーズやブーガンヴィルといった多くの探検家の船が出て行ったが、それらの船にはラマルティニエール、コリニョンやバレら植物学者が乗り込んで渡航先から植物を持ち帰った。それらは薬草研究の対象となり、また海洋性気候で湿度の高いブレストで馴化させた後、国王の植物園に植えられた。
そんな植物研究熱心なこの町には、1975年に造られた30haの国立植物保護研究所がある。絶滅種の保護を目的とした世界で初の研究機関で、絶滅した植物でも種バンクにあればそこから育て自然界に植える。保管している植物の種類の多さでは世界で3番目。また仏西部の植物多様性保護の任務も負う。国内には同様の研究所が12ヵ所あり、各地域の植物の種類と繁殖状態を把握し保護している。
▶Rampe du Stang-Alar 29200 Brest 02.9802.4600
無料。植物園 9h-20h (秋は -19h、冬は-18h) / 温室は夏は毎日。それ以外は要確認。スマホにオーディオガイドをダウンロードできる。
www.cbnbrest.fr/jardin-du-conservatoire
Océanopolis
子どもも大人も大興奮!オセアノポリス水族館
ブレスト観光地の一番人気は「オセアノポリス」水族館。ブレストの西にあってムーラン・ブランの砂浜も徒歩5分だから、小さい子ども連れには天国だ。9000㎡の水族館は〈北極館〉、〈熱帯館〉、〈ブルターニュ館〉の3部構成で、1000種以上、1万の水中生物がいる。〈ブルターニュ館〉ではブレスト近海のアザラシが、どこかユーモラスに泳いでいるのが間近に見えるし、ウニ、アワビ、ホタテ、オマール、イワシ、サバなどの水槽前では見学者が「晩御飯にいいね」などとつぶやく。
やはり目が覚めるように色鮮やかなのは〈熱帯館〉でサメも身近に見られるし、〈北極館〉では、さすがに北極グマは作り物だったけれどペンギンがたくさん。料金は高めだが、充実していて納得した。家族なら割引きは色々ある。
▶️ Port de Plaisance du Moulin Blanc 29200 Brest www.oceanopolis.com/
9/4までは9h30-18h。9/5-30まで10h-17h。10月以降はサイト確認。入場料:21.90 €/ 16.50€ (14-17歳) / 13.60€ (3-13 歳) / 学生16.90€。バス 3番線で終点下車。
▶️ Le Tour du Monde (Brasserie)
館内にもカフェはあるしピクニックできる庭もあるけれど、近くのブラッスリー「Tour du Monde 世界一周」なら、2階のテラスから海を見ながらムール貝やフィッシュ&チップスなどを食べられる。
Port de Plaisance, 29200 Brest 02.9841.9365
www.facebook.com/Tourdum29/
ブレスト城と海洋博物館
Château de Brest/Musée de la Marine
3世紀、ローマ人が最初に砦を築いた場所に、ヴォーバンが城塞を完成させるまでの歴史、ブレスト港の造船や同港から出航した歴史に残る探検家など、海洋史が学べます。船の頭に施される船首像(figure de proue)などは立派な彫刻作品。近くで見ると、大きいのにも驚きます。
▶ ブレスト城内の海洋博物館 :4月〜9月 : 無休、10h-18h30。
それ以外 : 火休、13h30-18h30。
入場はオーディオガイド込み7€ / 5.50 € /ガイドツアー参加+3€
Tram : Château / Bus : Musée de la Marine
www.musee-marine.fr/
www.musee-marine.fr/content/brest-informations-pratiques
ブレストの歌手といえばミオセック
Miossec
Tara InnやTir Na Nogといったブレストのアイリッシュパブでは、「セッション」と呼ばれるアイルランド音楽の夕べが定期的に催される。広場などでちょっとした祭りがあると、バグパイプが奏でるブルターニュの伝統音楽、ときにはハードなロックが聞こえてきたりする。
そんなブレスト出身の音楽界のスターというと、映画『アメリ』の音楽で国際的に知られるようになったヤン・ティルセンもいるけれど、ブレストっ子にとっては作曲家・作詞家で歌手のミオセック。今年で57歳になるミオセックだが、父が港湾火災専門の消防夫、母が海軍の事務所勤務と港町ブレストならではの生い立ちだ。16歳くらいから ブレストの地元ロックバンドでギタリストとして演奏をはじめ、29歳のときに出した処女アルバム『Boire』で高い評価を得た。これまでに11枚のアルバムをリリースしているが、その柔らかなバリトンの、ときには語るような歌声は変わらない。
ブレストのジャン・ジョレス大通りを港に向かって下っていく。crachinという目に見えないようなこぬか雨がやさしく顔を濡らす。そんなとき決まったように頭の中に流れる音楽が、ミオセックの名曲『Brest』だ。「ぼくがブレストを離れたからといって今でも君はぼくを嫌っているのかな。ブレスト湾を、港を、ジャン・ジョレス大通りを吹きぬける風と別れたからといって(…)雷よ、雷よ、ブレストの雷よ、なんということだ、雨よやんでくれ!」(真)
Tara Inn
商業港の一角で、港湾労働者と肩並べて昼食。
ジャン・ギャバン主演の『曳き船 Remorques』(1941)で、主人公が雨の中、階段を下る有名なシーンがある。それにちなんで「ギャバンの階段」と呼ばれる立派な階段を降りれば商業港。
ブレストには立派な軍港17世紀からあったが、生活物資の流通が不便だったためナポレオン3世が建設させた港だ。今ではマリーナも造られ、パラソルを出したカフェやレストランが並ぶ。ドゥアーヌ河岸には、木槌でカニを叩いて食べる店やクレープ屋…もあるが、そこから一本入ったアイリッシュ・パブに案内してもらった。バカンス時期でも港で働いている風な人たちでいっぱいだ。地元の人たちの隣で地ビール、魚や肉料理の主菜(10ユーロ)でブレスト情緒を満喫した!
▶ 1 rue Blaveau, 29200 Brest
02.9880.3607
▷▷▷サイトでは後日、ブレストから市バスで行けるル・コンケの町も掲載予定。
在住者がブレスト、ル・コンケのクレープ屋さんで一番おいしい!と思ったお店を紹介。
お楽しみに。