Cailles aux raisins
八百屋の店頭に、色も大きさもさまざまなブドウがあふれるようになると秋。そのまま食べてもおいしいし、フルーツサラダに入れるのもおすすめだし、ウズラの肉と合わせれば秋らしいごちそうになる。
ブドウは、たとえば浅い緑色をした「イタリア」のような大粒のものがほしい。
フランスでは肉屋や鳥肉屋でウズラが簡単に手に入る。1羽3ユーロ前後で、丸ごと、ロースト用に用意されたりして並んでいる。小さい鳥なので、4人分なら4羽買ってくる。足を結んでいる糸を切りとり、内臓のあったところの穴に塩、コショウし、両足を料理用の糸でしばり直す。胸肉の側に薄く切ったベーコンを一枚置き、やはり糸でウズラにしばりつける。
ブドウは少々時間がかかるけれど皮と種をとった方がいい。まず30秒熱湯につけてから皮をむく。さらにペティナイフを使って七分目に切れ目を入れ、種を出す。エシャロットはみじんに切る。
ココット鍋にオリーブ油少々をとって中火にかけ、油が熱くなったら塩、コショウしておいたウズラを入れ、何回か慎重にひっくり返しながら、まんべんなく焼き色をつける。ウズラを取り出し、油を捨ててバターを多めに入れ、弱火にかける。エシャロットを入れ透き通ってきたら、白ワイン、ハチミツ、タイムをくわえる。よく混ぜ合わせて再沸騰したらウズラを戻す。きっちりとふたをし、弱火で20分ほど火を通したら、ウズラを大皿にとり出し、80度くらいの目盛りに合わせたオーブンに入れて冷めないようにしておく。
ココット鍋にブドウを入れ、煮汁と混ぜ合わせながら3、4分ほど火を通す。まずブドウをウズラのまわりに並べ、煮汁をウズラの上からかけて食卓へ。付け合わせはマッシュポテトだ。煮汁をからませて味わう幸せ…。
少々野性的な風味のウズラには、ボージョレでも、モルガンやレニエのようなこくのあるものがほしい。(真)
4人分:ウズラ4羽、白ブドウ40〜60粒、ベーコン4枚、エシャロット2個、白ワイン1カップ、ハチミツ小さじ1杯、タイム適量、バター、油、塩、コショウ
Cailles au basilic
799号の「ふつわ」で和風ウズラのから揚げを紹介したけれど、ウズラを漬け込むタレさえ工夫すれば、バジリコ風味のタイ風になる。ウズラは鳥肉屋に頼んで一羽を四つに切り分けてもらうことにしよう。ボウルにしょう油、ナムプラー、酒、砂糖、みじん切りにしたニンニク、きざんだバジリコとレモングラスcitronelle、タバスコソース数滴、コショウで、好みの味のタレを作り、ここへウズラを入れて混ぜ合せる。数時間漬けこんだら、ウズラをとり出し、片栗粉をまぶし中温でじっくりと揚げて大皿に盛る。から揚げにしたバジリコの葉を上に飾り、レモンと花椒を添える。
Raisins
11月末くらいまでがブドウの食べごろ。ミネラル分も含め栄養分に富んでいる果物だから、わが家では、水にひたして洗ってから、房ごと皿やかごに盛って、テーブルの上に出しておく。こうすれば、気が向いたときにいつでも摘まんで食べられる。フランス人のほとんどは皮も種も食べてしまう。日本人が皮とか種を口から出そうとすると不思議そうに見られたりする。もちろん食べるか食べないかはそれぞれの好みだけれど、栄養学的には、その皮や種が、抗酸化作用を向上させるポリフェノールをたくさん含んでいる。
Régnié
ボージョレ・ヌーヴォーは今年も11月の第3木曜日、17日に解禁になる。軽い酸味、くどいほどのフルーティーな味わいでまだまだ人気があるけれど、数年寝かせておいた方が奥行きが出てくる、格付けされた銘酒があることも忘れてはいけない。ジュリエナス、ブルイ、シモルゴン、フルリ、サンタムール…。10番目の新顔がこのレニエ。この一本は2013年ものだが、すでに深い朱色になっている。まだ酸味が残っているので、キャラフに注いでデカンテしてから味わうことにした。ほどよいコクとカシスやグロゼイユの風味がとけ合ってウズラの肉にぴったりだった。