誰でも無料でビオの野菜が食べられる、と言えば、夢だといわれるかもしれない。しかし、イギリスの人口1万5千人の町、トドモーデンで2008年に始まったのが、まさにその運動 「Incredible Edible 信じられない食物」 だ。創始者のひとり、パム・ワーハーストさんは、町中の公園や植木鉢に野菜を植えるよう住民に提案することを思いついた。誰でも自由に取ってよい。住民の自給自足の運動だ。食料問題の解決の一助になり、CO2 排出が抑えられ、分かち合いの意識が生まれる。イギリス中で広がり、その他25カ国でも実践されるようになった。フランスでは、アルザスのフレランから始まった。今やフランス全土に500グループがある。
アルザスのオベルネイで、荷車に載った植木鉢の野菜を目にした。「分かち合う食べ物」と説明がある。オベルネイのビオの見本市では、フランスの運動の共同創始者、ジャン=ミシェル・エルビヨンさんとその仲間がブースを出していた。「種は、種子も販売する有機農場と有機種子のNPOが無料で提供してくれる」とジャン=ミシェルさん。背景の写真の人は、エコロジストで 「コリブリ運動」(本誌798号)の提唱者、ピエール・ラビ。彼も、この 「信じられない食物」を応援している。(羽)