5月後半は雨続きだったけれど、この号が出るころは、夏を思わせる暑さがやってきているに違いないと願いながら、だんだんおいしくなってきているメロンを使った前菜を2品作ってみよう。どちらにも、へたの周囲にひびが入っていたり、鼻を近づけるとメロンらしい匂いがする熟したものがほしいが、信頼のおける八百屋なら、「あすのお昼用です」などと注文をつけると、ちょうど食べごろになるようにメロンを選んでくれるはずだ。
最初の1品は、シンプルにポルトー酒風味。冷蔵庫で冷やしておいたメロンを二つに切り分ける。種の部分をスプーンを使ってとり出し、さらに縦に三つに切り分けてから皮をむき、食べやすい大きさに切る。これをボウルにとり、ポルトー酒をたっぷり振りかけ、コショウを多めにひき入れればでき上がり。ガラスの器に盛るときれいだろう。ミントの葉を散らすのもいい。
次は、ゆでエビやキュウリも入るちょっと豪華な前菜だ。魚屋に並んでいる小さめのゆでエビを買ってきて、頭と殻をとり、レモンを振りかけて冷蔵庫に入れておく。メロンはポルトー酒風味と同じように切り分ける。キュウリは、皮を付けたままにするとメロンとの歯ざわりが違いすぎるので、フランス人がよくやるように薄くむいてしまう。縦に四つに切り分け、水気の多い種の部分は切りとり、メロンと同じような大きさに切り分ける。
エビ、メロン、キュウリをサラダボウルにとり、オリーブ油ベースのビネグレットソースで混ぜ合わせる。ぼくは、エスプレット産のトウガラシ少々加えてアクセントを付け、きざんだシブレットを散らすことにしている。チェリートマト少々も二つに切って加えれば、さらに彩りがきれいになる。レモンを忘れずに添えたい。マヨネーズと生クリームを半々にして、エビの頭の中のミソを混ぜ入れたドレッシングもおすすめだ。(真)
4人分 : 大きめのメロン1個、大きなキュウリ半本、エビ300g、好みでチェリートマト適量、エスプレット産トウガラシ少々、シブレット少々、レモン、オリーブ油のビネグレットソース。
Melon
フランスではメロンが安く、時には3玉で6ユーロなどと安売りされたりもするのがうれしい。ほとんどが、ムロン・シャランテーズという品種で、皮にネット模様があったりなかったりするが味は変わらない。15世紀くらいにイタリアからフランスに伝わり、ロワール川沿いで栽培されるようになる。当初は高価だったが、その後、気候に恵まれたシャラント地方でも栽培されるようになって、フランス人一般の食卓にものぼるようになった。南仏のカヴァイヨン産にも人気がある。
Ail nouveau
5月半ばから7月にかけて茎付きの新ニンニクの玉が八百屋やジャガイモ・玉ネギ専門店に並ぶ。一つ取り出して二つに割ってみると、まだ芯がなくてみずみずしく、乾燥されたニンニクと比べると、物足りないくらいに、その匂いは薄く、味わいは繊細で、消化も悪くない。ニンニクが苦手な人も一度試してみるといい。南仏料理には欠かせないその風味は別としても、ニンニクは、血圧、コレステロール値を下げ、さらには抗がん作用もあるという健康食品だ。