Quenelles de cabillaud à la béchamel
前号では魚屋で売られているサケのおろし身を使ったが、タラ科の魚のおろし身も手頃な食材だ。真ダラcabillaudのおろし身でクネルを作ってみよう。本格的なクネルは、手順も多くちょっと難しいので、誰にでもできるあくまでも(真)流です。
まずパセリとエシャロットをできるだけ細かくみじん切りにする。ニンニクはおろす。食パンは耳をとってからさいの目に切ってボウルにとる。ここへ卵を割り入れ、よく混ぜ合わせて10分くらい置いておく。次に魚のおろし身を、骨が残らないように注意しながら切り分け、さっとブレンダーにかけてミンチ状にし、柔らかくなっている食パンに混ぜ入れ、均一になるまで練り合わせる。パセリ、エシャロット、ニンニクも混ぜ入れ、塩、コショウし、ナツメグ少々もおろして加える。これがクネルの種になる。
鍋にたっぷり水をとって沸騰してきたら火を弱くする。スプーン2本を左右の手に持ち、クネルの種をすくっては、スプーン同士を押し付けるようにしながら、長さ5センチほどの紡錘形にし、次から次へとコトコト沸騰している熱湯に落としていく。グラグラ沸騰させるとクネルがこわれてしまうので、あくまでも中弱火です。表面に浮いてきたら網じゃくしですくって、キッチンペーパーの上に並べる。この分量で16個くらいできる。
オーブンの目盛りを200度に合わせて点火しておく。
ベシャメルソースを用意する(右コラム参照)。オーブン皿にクネルを並べ、ベシャメルソースで覆う。その上にパン粉を振りかけ、バターをちょんちょんと置いてから熱くなっているオーブンに入れる。15分くらいで焼き色がついてきたらでき上がりだ。オーブン皿ごと食卓に出してとり分ける。前菜にもいいし、ピラフを添えたりしたらメインになるが、その時は、材料それぞれを5割増しにした方がいいだろう。
ワインはあまり辛口でない白、アルザス地方のシルヴァネールなどがおすすめ。(真)
【 4人分 】
真ダラのおろし身300g、エシャロット1個、ニンニク1片、パセリ適量、食パン2枚、卵1個、ナツメグ少々、塩、コショウ
ベシャメルソース:バター50グラム、小麦粉50グラム、牛乳半リットル、ナツメグ少々、塩、コショウ
Sauce béchamel
ベシャメルソースはインスタントのものもあるが、手製のおいしさにはかなわない。厚鍋かソトゥーズにバターをとって中火にかけ、とけたら小麦粉を同量加えて、木のへらでポマード状になるまで混ぜ合わせ、火から下ろす。ここへ室温の牛乳を少量ずつ、泡立て器で混ぜ合わせながら加えていく。全体がなめらかになったら火に戻し、塩とコショウで味を調え、好みではナツメグ少々を加え、グツグツッといったらでき上がりだ。だまができてしまったらパソワールでこす。今がおいしいアンディーブとハムのグラタンなどにも欠かせないソースです。
Filets de poisson
魚屋にはさまざまなおろし身が並んでいて、時間がない時や少人数の家庭には便利なものだ。サケsaumon、タラ科の魚たち (cabillaud、merlan、colin…)、タチウオsabre、カレイcarreletなどなど。おろし身を買う時に困るのは、それが新鮮であるかどうかわかりにくいこと。強いていえば、身に張りがあってつやがあること、どこか透明感があることなどが目の付けどころかもしれないが、あくまで手がかりにすぎない。丸ごと並んでいる魚たちが新鮮な、信頼できる魚屋で買い求めたい。
Sylvaner
シルヴァネールはアルザス地方のごくポピュラーな白ワインで、同地方のリースリングやグヴェルツトラミネールなどに比べると、フルーティーさに少々劣るかもしれないが、やや緑かがった透明感ある色合い、軽く爽やかな味わいはなかなか捨てがたい。シュークルートにもよく合う。アルザス地方のワインは、一つの種類のブドウから作られるものがほとんどで、シルヴァネールもブドウの種類の名前。シルヴァネール種は世界に広がり、ドイツやオーストリア、カリフォルニアでもアルザス産に負けないものが作られている。
5€前後から。