5月も半ばを過ぎると、香り高いガリゲット種をはじめとして、イチゴがどんどんおいしくなってくる。こんなイチゴはそのまま食卓に出して、砂糖を添えるだけでいいのだが、これではレシピにならないから困ってしまう。それならイチゴ入りのカスタードクリームが入ったシュークリームを作ってみよう。子どもたちから歓声が上がるデザートだ。
まずカスタードクリームを作って (右欄参照) 、冷ましておく。
次はシュー生地の準備。厚めの鍋に、水、砂糖、バター、塩ひとつまみを入れ、中火にかける。バターが溶けたところで、ふるいにかけておいた小麦粉をいっきに加える。この「いっきに」というのがコツといえばコツ。木のへらで素早く混ぜ合わせていくと、鍋からきれいにはがれて団子状になるだろう。これをサラダボウルなどに移し、丁寧に割りほぐしておいた卵黄を4回に分けて加えていくのだが、最初はなかなか混ざらないものだ。均一になるまでよく混ぜ合わせてから、次の分量を加えるというのが大切だ。仕上がりは柔らかめの粘土という固さになる。 オーブンの目盛りを160度に合わせて点火。
天板全体に硫酸紙を敷き、スプーンを使って、大さじ2杯分のシュー生地を、できるだけ玉になるように置いていく。絞り袋があるとこの作業はずいぶん楽になる。焼き上がると2倍以上にふくらむのでシューとシューの間隔をきちんととることを忘れないように。これを熱くなっているオーブンに入れ、ふっくらふくらんできれいな焼き色がついたらオーブンから出す。シューがやや冷めたところで、シューの真ん中あたりに横に包丁を入れて、二つに切り分ける。
飾り用のイチゴ以外の残りのイチゴを小さく切り分け、冷めたカスタードクリームに混ぜ入れる。これをシューの間にたっぷり入れてサンドイッチにし、イチゴで飾ればでき上がりだ。(真)
4人分 :イチゴ約500g
シュー生地 :水250cc、砂糖小さじ2杯、バター80g、塩ひとつまみ、小麦粉125g、卵黄4個
Crème pâtissière
カスタードクリームを作ってみよう。牛乳にバニラビーンズ1本分の種を加え、中弱火にかける。ボウルに卵黄と砂糖をとり、泡立て器を使って全体が白っぽくなるまで勢いよく混ぜ合わせる。ここへ小麦粉を混ぜ入れたら、沸騰した牛乳を、絶えず木のへらで混ぜ合わせながら、静かに加えていく。これを厚めの鍋にとり、ごく弱火にかける。やはり絶えず木のへらで混ぜ合わせていくと、全体がポマード状になるだろう。グツグツッといったら、すかさずサラダボウルに移し、冷ます。表面に膜ができないように、時々全体を混ぜ合わせることが大切だ。
材料:卵黄6個、砂糖100g、小麦粉40g、牛乳半リットル
FRAISE
イチゴの品種は現在500種以上あるといわれているが、13世紀までは、小粒のもっぱら野イチゴが食用とされていた。ルイ14世は野イチゴが大好きだったので、菜園長は温室でも栽培できるようにと品種改良に努めた。