●Le mariage de Figaro
伯爵の執事フィガロと伯爵夫人の侍女であるスザンヌの婚礼の日におこる様々な出来事を描くのがボーマルシェの「フィガロの結婚」。1784年に初演されたこの戯曲を気に入ったモーツァルトが2年後に歌劇として発表している。
時計職人、放浪生活、森林開発、劇作家、大変なハンサムでもあったらしく、何度も結婚した自由人ボーマルシェが展開する機知にとんだシーン。フィガロとスザンヌの恋愛、スザンヌに横恋慕をする伯爵、伯爵夫人に恋する若い召使い、借金を返さなければフィガロと結婚すると迫る年増の婦人、罰されそうになった召使いと結婚したいと伯爵に懇願する庭師の娘、浮気ばかりする夫を諌めるためにいたずらを企てる伯爵夫人…二重にも三重にもなった勘違い、人違い…フィガロとスザンヌの婚礼は一つのきっかけでしかなく、大切なのはこれらの人間模様なのだ。
ジャン=ポール・トリブーの演出は、婚礼をとりまく「喜び」に重きをおく。軽やかで、そして笑いに満ちた舞台に私たち観客は引き込まれる。登場人物たちはいずれも素晴らしいけれど、特に女性陣が私の関心を惹く。Sois belle si tu peux, sage si tu veux, mais soit considérée, il le faut(可能ならば美しく、望むならば賢く、だが尊敬されること、これは必要)という台詞が示すように、この劇の中での女性たちはみな男性と対等に扱われ、時には男性よりも強く気高く舞台に君臨する。貴族を揶揄し、フィガロのような自由人やブルジョワの台頭を示しながら、実はもっと重要なのは、それまでは男性の陰にいた女性たちに光を当てることだったのではないか。そういう意味で、やはりボーマルシェは時代を先取りしていたのだ、と感ずる。(海)
火〜金21h 土16h、20h30。
6€-25€。2/21迄。
Théâtre 14 :
20 av. Marc Sangnier 14e 01.4545.4977