昨日の味方は今日の敵…。

11月10日付リベラシオン紙。上がフィヨン、下がジュイエ。
11月10日付リベラシオン紙。上がフィヨン、下がジュイエ。
 最近メディアにサルコジ前大統領の大写しの顔が出ない日はない。政財界疑惑から2012年大統領選運動費疑惑まで、いくつかの疑惑がタコの足のごとくからみながらも、サルコジは11月29日の民衆運動連合UMP総裁選の候補者。ルメール元農業相やドローム県選出議員マリトンを押しのけて総裁に選ばれれば、2017年UMP大統領選候補者にもなれるかもしれない。
 内部分裂の渦中、UMP支持者が想像もしなかったスキャンダルが浮上。6 月24日、サルコジ政権で首相を務めたフィヨンがジュイエ大統領府事務総長をエリゼ宮近くのレストランに招き、特に前大統領選運動費の制限額超過に対する罰金約36万ユーロを、候補者サルコジの代わりにUMPが支払ったことに憤慨し、「(サルコジを)早いところたたかないと(Tapez vite!)政戦に戻ってくる」とジュイエにサルコジ関係疑惑の司法手続を早めるように働きかけたというニュースで、サルコジの復帰を妨げるフィヨンの策謀が発覚。 
 9月20日、ルモンド紙記者2人(Gérard Davet とFabrice Lhomme。『Sarko s’est tuer』共著者)がエリゼ宮にジュイエを訪ね、問題の昼食について確認するためインタビューを録音し、それを紙面に掲載(11/8)。フィヨンは「ジュイエの言ったことはウソ!」、ジュイエも「フィヨンはそんなことは言ってない」と両氏ともルモンド紙を訴える構え。ジュイエは翌日、自分が言ったことを認め、否定したことを再否定しフィヨンを怒らせる。
 ジュイエは国立行政学院ENAでオランドの同窓生で旧知の仲。ドロール元EU委会長副官房長、ジョスパン首相副官房長、フィヨン内閣EU閣外相と、左右両派に便利な存在。オランドは、ジュイエがサルコジ政権の閣僚になったとき苦い顔をしたが、大統領就任後、彼の片腕にし社会党員らに色眼鏡で見られる。彼は誰にでも当たりが柔らかく相談にのってしまうだけでなく、「しゃべりすぎる」のがたまにキズ。サルコジの復活を阻むフィヨンの策謀に彼が耳を貸したがために政界スキャンダルとなり、オランダ政権にも汚点を落とす。
 5年間サルコジの下で、フィヨンは従順な首相として、専制的で衝動的なサルコジ大統領の影となり、ジョギングでも彼から3歩下がって走り、見るからに紳士的で品のよい首相役を務めた。そんなフィヨンが、サルコジがUMP総裁選に出て大統領候補になることを目指すと分ったとき、それを阻むためジュイエに、サルコジ関係の数疑惑の司法手続を早く進めるべく大統領に働きかけるよう忠言したよう。オランド大統領は就任時に「元首は一切司法に介入しない」と宣言しており、フィヨンの策謀は策謀のまま終りそう。
 UMP総裁選直前に、フィヨンのサルコジへの「裏切り」が表面化してしまった今、サルコジ、ジュペ、フィヨン、ルメール、ベルトラン元教育相のうち、誰が党内予備選挙で、次期大統領選候補になるか。党内の相克を遠くから傍観しているのはジュペ・ボルドー市長。彼はシラク・パリ市長時代に財政疑惑で被選挙権を剥奪され、2年間モントリオール大学で教鞭をとり、シラク政権後半に首相も務めた。シラクが一番信頼する政治家でもある。政治家たちの権謀術策と対抗心は下克上そのもので、各々の性格を知れば知るほどフランスの政治劇は面白くなる。(君)

 

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